元WBC世界ヘビー級王者で、現在13位にランクされるデオンテイ・ワイルダー(米)=43勝(42KO)4敗1分=が、4月に再起戦を行う。ワイルダー陣営は対戦相手にカーティス・ハーパー(米)=18勝(12KO)11敗1NC=を選択。ハーパーは既に契約書にサインし、返送した事を明らかにしている。

39歳のワイルダーは、2020年2月に行われたタイソン・フューリー(英)=34勝(24KO)2敗1分=との第2戦で、7回TKOで敗れ初黒星を喫すると共に世界王座から陥落。2021年10月に行われたフューリー第3戦では、ダウン応酬の大激闘を演じたが11回KOで敗れ世界王座奪還に失敗。

2022年10月に米・ニューヨーク州ブルックリンのバークレイズ・センターで再起戦で、ロバート・ヘレニウス(フィンラ32勝(21KO)5敗=を、初回、右強打一発で粉砕し再スタートを切ったが、2023年昨年12月23日(日本時間24日)にサウジアラビア・リヤドのキングダム・アリーナで行われた、ジョセフ・パーカー(ニュージーランド)=35勝(23KO)3敗=戦では、全く良いところなく12回判定負け。

昨年6月1日(日本時間2日)に同所で行われた、チャン・ツィーレイ(中国)=27勝(22KO)2敗1分=戦では、チャンの右フック・カウンターの前に5回1分51秒KO負け。すっかり自信が無くなったような戦いぶりで、試合後、引退を勧める声が多数あがった。

しかし、ワイルダーは、最近の不調を右肩の負傷によるものであるとし、「俺には7人の子供がいるんだ。多くの人間の面倒を見て来たが、多くの人間に裏切られた。それは失恋よりもひどいことだよ」と話し、精神的に追い詰められていたことを告白。

映画”ロッキー”のシルベスター・スタローンの、「どれだけ打たれても、前に進み続けることができるかということだ 」という言葉に感銘を受けたワイルダーは、不安定な精神面に付いては専門家にサポートを受け、新しくトレーナーに元世界ライトヘビー級王者アントニオ・ターバー(米)を迎え入れ、最後の挑戦としてリングに戻ることを目指していた。

当初は元UFC王者で元WBC世界ヘビー級10位のフランシス・ガヌー(カメルーン)=2敗=との対戦を希望していたが、連敗脱出戦の相手に36歳のハーパーを選んだ。

ハーパーは2023年12月9日(10日)に米・フロリダ州ペンブロークパインズで、トップランク期待の新星リチャード・トーレスJr(米)=12戦全勝(11KO)に8回TKOで敗れ、4連敗(3KO)となったが、昨年は大きく負け越している相手ばかりとの6回戦で4連勝(3KO)。

これまで10回戦を戦ったことが一度だけというハーパーを再起戦相手に選んだワイルダーの自信のなさに対し、ハーパーはビッグアップセット達成に意欲満々。大きなステップアップを夢見ている。

タイソン・フューリーは引退宣言

昨年12月21日(日本時間22日)にサウジアラビア・リヤドのキングダム・アリーナで行われた、WBC、WBO世界ヘビー級&WBAスーパー王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)=23戦全勝(14KO)=とのタイトル戦で、12回判定に敗れた、36歳の前WBC王者タイソン・フューリー(英)=34勝(24KO)2敗1分=は、現役引退を宣言。

フューリーはウシクに敗れた後、「僕は2試合とも勝ったと思っている。死ぬまで勝ったと信じ続けるよ」と、判定に不満をぶちまけていた。

そんなフューリーに対し、”リヤド・シーズン”を主導するサウジアラビアのトゥルキ・アラルシク大臣は、フューリーと、元3団体統一王者アンソニー・ジョシュア(英)=28勝(25KO)4敗=との試合が見たいと発言。

ジョシュアをプロモートするマッチルーム・ボクシングのエディ・ハーンも、以前からウシクとの再戦でフューリーが敗れた場合、ジョシュアvsフューリーを実現させる考えがある事を明らかにしており、英・ウェンブリー・スタジアムでフューリーvsジョシュアの開催を目指す考えを明らかにしていた。

フューリーを共同プロモートするクイーンズベリー・プロモーションのフランク・ウォーレンは、「彼にはボクシング界に来て働いてほしい。 彼は英国、そして世界のボクシング界にとって素晴らしい存在であり、素敵な引退生活を送り、人生を楽しんでほしい」とのコメントを発している。