元世界2階級制覇王者で、現在、WBC世界バンタム級2位、WBO3位にランクされるファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)=44勝(28KO)4敗=が、6月14日(日本時間15日)にメキシコ・エルモシージョで、元世界5階級制覇王者ホルヘ・アルセ(メキシコ)の甥、カリム・アルセ(メキシコ)=21勝(8KO)2敗2分=と対戦する事が正式発表。

35歳のエストラーダは昨年6月、ジェシー・ロドリゲス(米・帝拳)=21戦全勝(14KO)=に7回KOで敗れ、WBC世界スーパーフライ級王座を失って以来、約1年ぶりの復帰戦となり、バンタム級転向第一戦。日本人選手が独占する世界バンタム級王座挑戦をアピールする為にも、存在感を見せつける勝利が求められる。

リング復帰を果たすエストラーダと同じく注目を集めているのは、同じプログラムに組み込まれたWBC女子世界アトム級暫定王座決定戦に出場する、同級8位カミラ・サモラノ(メキシコ)=11戦全勝(1KO)=。

Camila Zamorano vs Mika Iwakawa

サモラノは、元IBF、WBO世界同級王者で同級4位の岩川美花(姫路木下)=13(4KO))7敗1分=選手と、暫定王座を争う事が発表された。

キャリア14年、41歳の岩川選手とグローブを交えるサモラノは、エルモシージョ出身の17歳。2023年4月のデビュー以来連勝を続け、昨年10月にはWBCインターナショナル同級王座を獲得している。

幼い頃から父親エレアザールの指導でボクシングを始めたサモラノが勝てば、ウィルフレッド・ベニテス(プエルトリコ)の17歳6ヶ月を上回る、17歳5ヶ月と16日での世界王者誕生(暫定ながら)となり、地元では抜群の人気を誇るチャーミングなサモラノの世界戦は、大いに注目を集めている。

Camila Zamorano

対戦相手が大ベテランの岩川選手になったのはめぐりあわせだろうが、岩川選手はWBO、IBFと2度世界王座に就いたキャリアを持つ実力者。昨年1月に山中菫(真正)=8勝(3KO)1敗=選手に敗れ、IBF王座を失ったが、今年3月に再起。メキシコ遠征は2度目となる。

若さvsキャリアの戦い。

4歳から父親の英才教育を受けていたベニテスが、1976年3月に地元リングで挑戦したのは、WBA世界スーパーライト級王座を10度防衛中のアントニオ・セルバンテス(コロンビア)で、当時30歳。戦うチャンピオンの異名をとったセルバンテスは強かったが、高校3年生のベニテスはスプリット判定で勝利。世界をアッといわせた。

しかし、そうはうまくいかない例もある。渡嘉敷勝男(協栄)選手からWBA世界ライトフライ級王座を奪い去ったルペ・マデラ(メキシコ)を、9回KOで破り世界王座を強奪したフランシスコ・キロス(ドミニカ)は、10連敗を克服し王者となったが、この時点で戦績は、9勝(3KO)10敗1分1NCの負け越し。

Francisco Quiroz vs Victor Sierra

これに目を付けたパナマのビクトル・シエラ=10勝(6KO)2敗3分=は、13万ドルの報酬を用意し、1984年8月、地元リングで27歳のキロスに挑戦。世界6位にランクされていた17歳のシエラが勝てば、ベニテスの記録を10日間上回る世界記録達成だったが、初回からダウンを喰らったシエラは、第2ラウンド、キロスの右アッパーで轟沈。夢は藻屑と消えた。

また、1977年11月にパナマで行われたWBA世界スーパーバンタム級初代王座決定戦で、洪秀煥(韓国・27歳)と戦ったエクトール・カラスキャラ(パナマ)=11戦全勝(11KO)=は、2回に4度のダウンを奪ったが、3回に超逆転のKO負け。カラスキャラは大魚を逃し、17歳での世界王座獲得はならなかった。

17歳のサモラノが勝ち、新しい時代を切り開くことになるのか。41歳の岩川選手が敵地の真っただ中で、これまでのキャリアの集大成を見せて、サモラノの野望を打ち砕くのか。女子世界戦にも注目。