IBF世界フライ級王者矢吹正道(緑)=18勝(17KO)4敗=選手に、同級1位フェリックス・アルバラード=42勝(35KO)4敗=が挑む指名戦は、9月9日(日本時間10日)にオンラインで行われた入札で、マニー・パッキャオ率いるMPプロモーションが、単独の3万ドル(約442万円)で落札。ファイトマネーの分配は王者の矢吹選手が1万9500ドル(約287万円)。挑戦者のアルバラードが1万500ドル(約155万円)となる事が決定。

そしてMPプロモーションは、11月22日(日本時間23日)にメキシコ・エルモシージョで試合の開催を決定。興行権をMPプロモーションが握って以来、矢吹選手陣営は公式にコメントを発していないが、果たしてこのままメキシコで試合に臨むのかは大きく注目されている。

2015年、IBFは世界スーパーフライ級王者ゾラニ・テテ(南アフリカ)と、同級1位マックジョー・アローヨ(プエルトリコ)の指名戦を指令。6月2日(日本時間3日)に米・ニュージャージー州のIBF本部で行われた入札は、アローヨ側を代表したゴールデン・ボーイ・プロモーションが2万5100ドル(約305万円)で落札。

ファイトマネーの配分は、テテが75%の18,825ドル(約230万円)、アローヨが25%の6,275ドル(約76万円)となったが、あまりの安い報酬でリングに上がる事なくテテは王座を返上。2015年7月に行われた王座決定戦で、アーサー・ ビジャヌエバ(フィリピン)を10回負傷判定で破ったアローヨが新王者となった。

しかし、アローヨが初防衛戦で義務付けられたジェルウィン・アンカハス(フィリピン)との指名戦は、またもや入札となりサンプソン・ボクシングが最低価格の2万5千ドル(約292万円)で単独落札に成功。アロヨの報酬は85%の2万1250ドル(約248万円)で、アンカハスは15%の3750ドル(約44万円)となった。

アル・ヘイモンとは友好関係にあるサンプソン・リューコーイッツは、マニー・パッキャオと組みフィリピン開催を目論むが、アローヨ側のベスト・ボクシング・プロモーションは入札の無効を訴え提訴。それでも試合開催の準備は着々と進み、2016年4月16日にフィリピン・バコールでの開催が決定。だが、公開練習直前になりアローヨの左手第五中手骨骨折により延期となる。

そして、9月フィリピン・タギッグのリングに上がったアローヨは、アンカハスに敗れ王座陥落。アンカハスの長期政権の始まりとなった。また、2022年2月にアンカハスから王座を奪ったフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)のV2戦となった、1位ジェイド・ボルネア(フィリピン)との指名戦も入札となり、プレミア・ボクシング・チャンピオンズの主導プロモーターであるTGB・プロモーションが単独の2万5千ドル(約333万円)で落札。

Fernando Daniel Martinez

報酬分配はマルティネスが65%の1万6250ドル(約216万円)、ボルネアは35%の8750ドル(約116万円)で、試合はTGB・プロモーションの主催で2023年6月に行われ、マルティネスが11回TKO勝ちを収めたが、ファイトマネーの上積みがあったかどうかはわからない。しかし、この安いファイトマネーの後、来日し井岡一翔(志成)選手との王座統一戦に臨み、キャリア最高の報酬を得ている。

エルモシージョでのMPプロモーション興行には、IBF世界ライトフライ級挑戦者決定戦。同級3位(1、2位は空位)セルヒオ・メンドーサ・コルドバ(メキシコ)=26戦全勝(22KO)=と、同級4位ムプメレロ・チャバララ(南アフリカ)=11勝(5KO)1敗=の一戦も組み込まれた。

チャバララは最近、コリン・ネイサンのノー・ダウト・マネジメントと契約を締結したばかり、そしてこれに続くように本日、IBF世界バンタム級5位ランディ・ギーケ(南アフリカ)=16勝(8KO)1敗1分=もネイサンとの契約を発表。IBF世界バンタム級王座決定戦で、同級3位(1、2位は空位)ホセ・サラス・レイエス(メキシコ)=16戦全勝(10KO)=とグローブを交える事になるが、レイエスもMPプロモーションに所属しており、この決定戦もここに組み込まれる可能性も高いだろう。

そうなれば、IBF世界フライ級戦とのダブルタイトル戦興行となるが、果たして矢吹選手は・・・。