12月17日、東京・両国国技館で開催されたWBA世界バンタム級王座統一戦。レギュラー王者の堤聖也(角海老宝石)=12勝(8KO)無敗3分=選手と、暫定王者ノニト・ドネア(フィリピン)=43勝(28KO)8敗=の一戦は、まれにみる大激闘となった。



序盤戦、堤選手が接近するとドネアは伝家の宝刀左フックを打ち込む。威力は十分で怖いパンチだった。さらに接近戦では右アッパーも正確で、研究の後が伺えた。


足を使いながら放つ堤選手のジャブは思いの外ドネアを捕らえた。しかし4回、ドネアは強烈な右ストレートで堤選手の鼻柱をカット。間髪入れずに右アッパーを打ち込むと、堤選手の膝が揺れた。このまま仕留めるか、という程の猛攻でドネアがリードを広げた。



このまま一方的にドネアが押し切るのかとも追われた試合は、6回から堤選手が流れを変えようと前進。ジャブを突きさし、左フック、右ストレートへ繋ぐ。ドネアはジャブを放ち、距離を取る構えを見せた。


7回以降、両選手は顔面を腫らしながらの激しい打撃戦を展開。堤選手の鋭い左ストレートからの連打が決まり、序盤戦のポイントを挽回して行った。


10回終了間際、堤選手の左フックがクリーンヒット。続く左右フックの連打でドネアを追い込んだ。

堤選手の左ストレートが決まる。立ち上がりからこのパンチに対するドネアの反応は鈍かった。

終盤、ドネアも意地を見せる。攻め立てられながらも、左フック、右アッパーを返し、堤選手をひやりとさせた。


最終ラウンド、堤選手の左フックが決まるとドネアは大きくバランスを崩す。ここぞとばかりに右を追撃。一気に攻めかかる堤選手だが、ドネアは踏ん張る。

両者激しく打ち合いながら試合終了ゴングを聞いた。両選手共に力の限りを振り絞った稀に見る大激闘だった。

堤選手、ドネアの両雄は自らの勝利を信じ判定を待つ。

公式スコアはロバート・ホイル(米)116-112でドネア。ピニット・プラヤサブ(タイ)は115-113で堤選手。勝敗を分けた3人目のジャッジ、レシェク・ヤンコヴィアク(ポーランド)は117-111で堤選手を支持。

まさに激闘王にふさわしい勝利で堤選手が、WBA世界バンタム級王座の統一に成功すると共に2度目の防衛に成功したが、敗れた43歳ドネアも見事な戦いぶりを見せてくれた。今後に付いて堤選手は他団体王者との統一戦を目標に掲げたが、それが決まらなければ5階級制覇を目指しバンタム級戦線に参戦する、井岡一翔(志成)=31勝(16KO)4敗1分=選手との対戦を希望。
WBA9位にランクされる井岡選手は、大晦日に東京・大田区総合体育館で、11位マイケル・オールドスゴイティ(ベネズエラ)=15勝(14KO)1敗=と挑戦者決定戦でグローブを交える事が決定済。さしたる実績もなく、井岡選手と戦うためにWBAランク入りを果たしたオールドスゴイティ相手に、井岡選手が取りこぼす可能性は限りなく低く、指名挑戦者として堤選手の前に立ちはだかる事になるだろう。
