10月19日(日本時間20日)、アルゼンチン・メンドサのアコンカグア・アリーナで開催された、IBF世界ライト級2位決定戦。世界同級5位ザウル・アブドゥラエフ(ロシア)=19勝(11KO)1敗=と、同級同級12位ファン・ハビエル・カラスコ(アルゼンチン)=20勝(12KO)1敗=の12回戦は、アブドゥラエフが12回TKO勝ち。

6連続KO中の32歳、地元のカラスコと、現在、8連勝中で2022年2月には元3階級制覇王者ホルヘ・リナレス(帝拳・ベネズエラ)選手を12回TKOに破っている、30歳アブドゥラエフの対戦は、初回、共にガードを高く上げジャブを突き合うスタート。しかし、手数で上回るカラスコが右ストレートを決めた。

2回以降、ジワリ前進。プレスを掛けるカラスコは、ジャブからシャープな右ストレートを放ち主導権を握って行く。4回はアブドゥラエフの左フックに対し、カラスコは右ストレートをボディに送った。5回、6回と体格で上回るアブドゥラエフは手数を増やし、ジャブから右ストレート。カラスコの右目下が腫れて来た。

7回、アブドゥラエフの右ストレートが決まる。8回、右ストレートを武器にペースを上げるアブドゥラエフに対し、カラスコも左右アッパーで応戦。譲らぬ戦いが続く。10回、アブドゥラエフは右ストレートに加え、右オーバーハンドを叩きつけ優勢。

11回、開始と共に攻勢に出たカラスコに対し、アブドゥラエフは右を叩きつけ跳ね返す。続く連打でカラスコの動きが怪しくなる。最終ラウンド、カラスコは連打で前に出たが、アブドゥラエフは下がらず、右ストレートを決め、さらに左フック、右アッパーと連打は止まらない。たまらずカラスコ・コーナーはリングエプロンに上がり、棄権の意思表示。試合はストップされた。

好スタートを切ったカラスコだったが、中盤以降、尻上がりに調子を上げたアブドゥラエフの右ストレートの前に兜を脱いだ。

この試合は当初、アブドゥラエフをプロモートする、ロシアのRCCプロモーションが、9月6日にロシア・チェリャビンスクで開催する事を発表していたが、アルゼンチンの入国管理局は裁判所命令だとして、カラスコ陣営の飛行機への搭乗を阻止。直前にキャンセルされた試合は、一転、カラスコ擁するORプロモーション主催により、アルゼンチンで行われる事になった。

世界ライト級はWBA、WBC、WBO、IBFの4団体でウィリアム・セペダ(メキシコ)=31戦全勝(27KO)=が1位に君臨するが、セペダをプロモートするゴールデン・ボーイ・プロモーションのオスカー・デラホーヤは、セペダのターゲットをWBO王者デニス・ベリンチク(ウクライナ)=19戦全勝(9KO)=にする事を公言。

2位位決定戦に勝利したアブドゥラエフは、今後のセペダの動向次第で指名挑戦者に選ばれる可能性がある。また、年内休養を宣言した王者ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)=17勝(11KO)3敗=は、引退に付いて考えているとの話もあり、来年は世界戦のチャンスがやって来そう。