WBA世界ヘビー級レギュラー王者クラフト・プーレフ(ブルガリア)=32勝(14KO)3敗=と、同級2位マイケル・ハンター(米)=24勝(17KO)1敗2分=の指名戦入札は、ハンターをプロモートするドン・キングが110万ドル(約1億6千30万円)で落札に成功。

試合は8月23日(日本時間24日)に米国で開催。試合会場は未定だが、本拠とするフロリダの他、ラスベガス、オハイオ、ペンシルベニアが候補に挙がっている。ファイトマネーの分配はプーレフが75%の82万5000ドル(約1億2千50万円)で、ハンターは25パーセントの27万5000ドル(約4千20万円)。

WBAは最初、プーレフと同級1位ファビオ・ウォードリー(英)=18勝(17KO)無敗1分=の指名戦を指令。しかし、交渉は決裂。ウォードリーのプロモーターであるクイーンズベリー・プロモーションのフランク・ウォーレンが、プーレフ戦のために用意していた試合会場の予約を維持する為に、WBAは暫定王座決定戦の開催を承認。

ウォードリーと同級4位ジャレル・ミラー(米)=26勝(22KO)1敗2分=による暫定王座決定戦の開催が決ったが、ミラーは肩の負傷を理由に出場を辞退。

これを受け、ミラーに代わって同級9位のジャスティス・フニ(オーストラリア)=12戦全勝(7KO)=の出場が決定。試合は6月7日(日本時間8日)にウォードリーの地元、英・イプスウィッチのポートマン・ロード・スタジアムで開催される。

WBA世界選手権委員会は、適用される防衛戦期間の変更。その他の様々なルールの適用を一時停止する、明示的な権限を持っており、そのルールに基づき特別許可を与えたとしているが、これを紐解けば、結局、どうにでも出来るという事で、この一連のタイトル戦承認は理にかなっている事になる。

Kubrat Pulev

プーレフは昨年12月7日(日本時間8日)にブルガリア・ソフィアで、レギュラー王座を保持していたマフムド・チャー(ドイツ)=34勝(20KO)5敗=を12回判定で破り王座を獲得。WBA、キングとの抗争によるトラブル続きだったチャーは、約2年ぶりのリング登場で、実に約7年1ヶ月を経ての初防衛戦だった。

暫定王座決定戦を承認したWBAはプーレフに対し、同級ゴールド王者で2位にランクされるハンターとの対戦を指令。交渉期限は4月4日(日本時間5日)となっていたが、ブルガリアの国民的英雄となった44歳のプーレフと、キングが傘下に収める36歳のハンターの対戦交渉は難航していた。

WBAはプーレフvsハンターの勝者は、ウォードリーvsミラーの勝者と、それぞれの試合から180日後か、遅くとも2025年12月31日までに対戦する事を義務付けている。

しかし、同級スーパー王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)=23戦全勝(14KO)=に対して、今後24ヶ月間は指名戦の義務が無い事を3月に発表しており、WBA世界ヘビー級はスーパー、レギュラー、暫定の王座乱立時代が再びやって来そう。

Michael Hunter

両者の対戦はブルガリアを除き、米国内、世界的には関心を呼ぶことはなく、まずは8月23日(日本時間24日)に試合は本当に開催されるのかが、今後の焦点となるだろう。

それにしても、”キンシャサの奇跡”・1974アリvsフォアマンから半世紀以上が過ぎた今でも、93歳のキングが持ち続けるヘビー級に対するこだわりはすごい。かなり選手は小粒になりましたが・・・。