WBA世界フェザー級暫定王座決定戦。同級1位ミルコ・クエロ(アルゼンチン)=14戦全勝(11KO)=と、同級15位セルヒオ・リオス・ヒメネス(メキシコ)=19戦全勝(7KO)=の一戦は、8月8日(日本時間9日)にリビア・ベンガジで開催される事をWBAが承認。また新しく暫定王者が誕生する。

先月から噂されていたクエロvsヒメネスによる暫定王座決定戦は、6年のキャリアで8回戦を3度戦い、10回戦は未経験のヒメネスを、この試合の為に最新ランキングで強引に15位に押し込んだ事で、暫定世界王座戦としての開催に支障が無くなった。

ヒメネスは19戦のキャリアの中で勝ち越している選手と戦ったのは2度だけ。5連敗以上を継続中の選手が10人もいる。

昨年4月に8回戦でグローブを交えたフアン・バルデス(メキシコ)=8勝(7KO)14敗=は6連敗中。昨年6月の6回戦で3回TKO勝ちを収めているグレゴリオ・ソト(メキシコ)=13勝(8KO)29敗3分=は、一つの引き分けを挟んで8連敗中。今年5月の6回戦で初回KO勝ちしたグスタボ・モリーナ(メキシコ)=24勝(9KO)28敗=は、なんと13連続KO負け中で、ヒメネスに倒された後、ローカルコミッションから無期限出場停止処分を喰っている。

Sergio Rios Jimenez

世界ランキングに入るような要素は全くない。暫定王座決定戦開催を画策していたクエリョ陣営に、その戦績の良さから対戦相手に抜擢されたのは、世界ヘビー級王者アポロ・クリードに”イタリアの種馬”という別名が面白いとして、世界挑戦者に抜擢されたロッキー・バルボアそのものである。

チャンピオンの気まぐれから思わぬ世界タイトル挑戦の機会が訪れたロッキーは、厳しいトレーニングを積み迎えたアポロへの挑戦試合で大善戦。世界王座こそ奪えなかったが、ここから栄光への道がスタートする事になった。

そして、ヒメネスもまたロッキーと同じ夢を見て、「このチャンスを絶対にものにする」と猛トレーニングに励んでいる。映画の中の話が、暫定とはいえ世界タイトルを賭けた試合で、現実的に起こるとは全く想定できず、驚き以外の何物でもない。

Mirco Cuello

24歳のクエロは、まだ無名だった元世界2階級制覇王者セルヒオ・マルテイネス(アルゼンチン)を見出し、世界王者に導き、現在はデビッド・べナビデス(米)、セバスチャン・フンドラ(米)らを傘下に置く、サンプソン・リューコーイッツのサンプソン・ボクシングとプロモート契約を締結。

2018年ユース五輪バンタム級で銅メダルを獲得し、東京五輪にも出場している次世代のスター候補。エリートボクサーの為に用意された暫定王座決定戦だが、リングでは何が起こるかわからない。24歳のヒメネスが勝てば、まさに新スターの誕生となるが、果たして。