5月10日(日本時間11日)、米・カリフォルニア州サンディエゴのペチャンガ アリーナで開催された、トップランク興行の共同メイン。IBF世界ライト級暫定王座決定戦。同級2位(1位は空位)にランクされるザウル・アブドゥラエフ(ロシア)=20勝(12KO)1敗=と、同級4位のレイモンド・ムラタラ(米)=22戦全勝(17KO)=の一戦は、ムラタラが判定勝ち。

初回、ムラタラは速いジャブ。アブドゥラエフはガードを高く上げ上体を振り、ムラタラの出方を伺った。2回、ムラタラは左フックから左アッパーをヒット。いきなりの速い右ストレートもアブドゥラエフを捕らえた。3回、ムラタラはジャブから右ストレート。アブドゥラエフは右カウンターを返すが手数は少ない。

4回、ムラタラはワン・ツーから左ボディをヒット。のぞき見ガードのアブドゥラエフに速いワン・ツーを打ち込んだ。5回、アブドゥラエフはワン・ツー連打。ムラタラはスムーズに動いて交わすと、ジャブから右ストレート。6回、アブドゥラエフが徐々に手数を増やすが、ムラタラは左ボディを放ち、ジャブ、右ストレート。

7回、ジャブを伸ばし距離を詰めて出るアブドゥラエフに、ムラタラは右カウンターを狙う。8回、ここまでリードを許しているアブドゥラエフだが、なかなか手が出ない。ムラタラも慎重に戦い手数は多くないが、ワン・ツーから左アッパーをヒット。

9回、ジワリと前に出るアブドゥラエフはコーナーから、「もっと攻めていけ」と声を掛けられるが、ムラタラの素早い動きの前に手が出ない。ムラタラはスムーズに動き、速いジャブ、右ストレート。10回、終盤に強いアブドゥラエフだが、いつものような連打は出ない。ムラタラは余裕を持った動きから、接近するとアッパーを狙う。

11回、アブドゥラエフはジャブからワン・ツー連打で前進。しかし、ムラタラはこれを交わし、インサイドから右アッパーをヒット。最終ラウンド、ムラタラは前に出ようとするアブドゥラエフの出鼻をジャブで押さえ、自在に動き、スイッチを交え、ストレート、アッパーを軽打。アブドゥラエフは最後まで持ち味を出すことが出来ずに試合終了ゴングを聞いた。

公式スコアは119-109、119-109、118-110。ムラタラがスピードとテクニックの違いを見せ、最後まで試合を支配。全く危なげなく、無傷のまま完勝を収めた。今後はこのクラスのトップ戦線で活躍する事になるだろう。

スーパーフェザー級10回戦。WBC世界同級9位、WBO11位アンドレス・コルテス(米)=22戦全勝(12KO)=と、サルバドール・ヒメネス(スペイン)=14勝(6KO)1敗1分=の一戦は、コルテスが判定勝ち。スコアは100-90、100-90、99-91。

Andres Cortes

コルテスは約11ヶ月ぶりのリング登場。ヒメネスは3月1日(日本時間2日)に英国リングでWBCインターナショナル王座に挑み、12回判定負けで初黒星を喫して以来の再起戦。立ち上がり、コルテスはジワリとプレスを掛けジャブ、左フック、右ストレート。ヒメネスはディフェンスを固めカウンター狙いで手数は少ない。

4回から攻勢を強めたコルテスは、ジャブ、左フックを上下に散らし右ストレート。しかし、たまにヒメネスが出てくると距離を取り手数が減り、盛り上がりに欠ける展開。8回には観衆からブーイングが聞こえ、コルテスはペースを上げたが、ヒメネスの固いブロックを打ち破る事は出来ず、見せ場のないまま試合終了ゴングを聞いた。

ウェルター級10回戦。WBC、WBO世界同級13位ジョバニ・サンティラン(米)=33勝(18KO)1敗=と、アンヘル・ベルトラン(メキシコ)=18勝(11KO)2敗=の一戦は、サンティランが判定勝ち。スコアは97-93×3。

スーパーバンタム級8回戦。19戦全勝(18KO)のレコードを持ち、17連続KO中のWBC世界同級10位、WBO11位、IBF14位にランクされるセバスチャン・エルナンデス・レイエス(メキシコ)と、元世界ランカーのアザト・ホフハニシャン(アルメニア)=21勝(17KO)5敗=の一戦は、レイエスが判定勝ち。スコアは98-91×3(9回、ホフハニシャンはホールディングで減点1)。

18連続KOはならなかったが、ルイス・ネリ(メキシコ)、アラン・ピカソ(メキシコ)と、世界上位の選手と続けて戦って来たホフハニシャンとフルラウンド戦った事は、24歳のレイエスには良い経験になるだろう。