WBA世界ヘビー級レギュラー王者マフムド・チャー(ドイツ)=34勝(20KO)4敗=に、同級8位クブラト・プーレフ(ブルガリア)=30勝(14KO)3敗=が挑むタイトル戦が、12月7日(日本時間8日)にブルガリア・ソフィアのアリーナ・ソフィアで開催される事が正式発表。両選手は3月30日(日本時間31日)に同地で対戦する予定だったが、3月18日(日本時間19日)にチャーが左上腕二頭筋を断裂。手術を受ける事になり試合はキャンセルされていた。

39歳のチャーが王座を獲得したのは2017年11月で、約7年1ヶ月を経ての初防衛戦となり、リングに登場するのは約2年ぶり。対する43歳の挑戦者プーレフは3度目の世界挑戦。ブルガリアでは絶大な人気を誇るプーレフとチャーのタイトル戦は、地元では”世紀の一戦”として取り扱われている。

チャーは2017年11月25日(日本時間26日)にドイツ・オーバーハウゼンで行われた、WBA世界ヘビー級レギュラー王座決定戦で、アレクサンダー・ウスティノフ(ロシア)を12回判定に破り王座を獲得。しかし、翌2018年9月の初防衛戦を前にドーピング陽性が判明。王座剥奪の危機にさらされたが、Bサンプル検査でチャー陣営の立会人を参加させないミスが判明し、王座剥奪を逃れた。

その後も、トラブル続きでウスティノフ戦を最後に試合枯れとなったチャーに対し、WBAは2021年1月、チャーを休養王者として認定。これを不服としたチャーは同年8月、WBAと、ヒルベルト・ヘスス・メンドーサWBA会長個人、ドン・キング・プロダクションらを相手取り、約460万ドルの損害賠償を求め、米・地方裁判所に提訴。2022年1月、WBAはチャーの休養王座を剥奪。

裁判の流れはチャー側に有利に動く中、2023年8月26日(日本時間27日)に和解が成立。WBAはチャーを世界ヘビー級レギュラー王者として復活させた。そして、10月14日(日本時間15日)までに5位にランクされていたジャレル・ミラー(米)と対戦する事を義務付けたが、経済的理由により開催が困難と認められ、ミラー戦は消滅。

選択防衛戦を認められたチャーの対戦相手として選ばれたのがプーレフだった。しかし、ようやく決まった3月の対戦も中止。トラブル続きのチャーが、無事にリングに上がる事を願うばかりだが、WBA世界ヘビー級戦として盛り上がるのは、ドイツ、ブルガリアばかりではないだろうか。WBAはタイトル戦としての威厳を保たせようとして躍起になっているが。