前WBC世界フライ級王者フリオ・セサール・マルティネス(メキシコ)=20勝(15KO)3敗3NC=は、5月31日(日本時間6月1日)にメキシコ・メヒで、約1年2ヶ月ぶりとなる復帰戦のリングに登場。24時間前に急遽変更されたゲラルド・バレヌエバ(メキシコ)=12勝(10KO)4敗1分=と対戦。

前日計量は両者54.8キロでパス。バレヌエバは同じリングで別の相手と戦う予定で体調は万全。マルティネスは長身のバレヌエバに対し、いつものように左右フックの連打から左右のアッパーを突き上げ、強烈な左ボディを打ち込み前進。

Julio Cesar Martinez vs Gerardo Valenzuela

マルティネスの攻勢の前に押し込まれながらも、バレヌエバは時折右ストレートを返し応戦するが、マルティネスのエネルギッシュな攻撃の前に苦戦。マルティネスは勝利へと向かっていたが、左腕を負傷。第8ラウンド、続行不可能となりバレヌエバのTKO勝ちが告げられた。

マルティネスは昨年3月30日(日本時間31日)に米・ラスベガスのT-モバイル・アリーナで行われた、アンジェリーノ・コルドバ(ベネズエラ)=18勝(12KO)無敗1分1NC=との防衛戦の試合後、ネバダ州コミッションによるドーピング検査で、S5利尿剤とその他のマスキング剤が検出された事が明らかになり、ネバダ州コミッションはマルティネスに対し、9ヶ月の出場停止処分を決定。

併せて12月29日(日本時間30日)まで、ABC(ボクシング・コミッション・コンバティブ・スポーツ協会)傘下にある、米国内各州コミッションが認定する試合への出場は認めらなくなった。

マルティネスが12回判定勝ちを収めていたコルドバ戦の試合結果も、ノーコンテストに変更され、7万5千ドルのファイトマネーから、15%の11,250ドルを罰金として科され、総額157.04ドルの起訴費用の負担も求められた。

Julio Cesar Martinez

WBC世界フライ級王座を返上し、階級を上げ2階級制覇を目指すマルティネスは、7月12日(日本時間13日)にもメキシコ・クリアカンのファン・S・ミラン・スポーツセンターで、再起第2戦を予定。精力的なカムバック・キャンペーンを行う計画だったが、思わぬ負傷により回り道を強いられる事になった。

30歳のマルティネスは、4団体統一世界スーパーミドル級王者サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)=63勝(39KO)2敗2分=を、デビュー時から指導するエディ・レイノソによりマネージメントされ、出だし2連敗から世界王座を獲得。

その後は、2022年3月5日(日本時間6日)に米・カリフォルニア州サンディエゴで行われた、WBC世界スーパーフライ級ダイヤモンド王座決定戦(マルティネスはリミット1.4ポンド超過で計量失格)で、元4階級制覇王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)に12回判定で敗れた以外に黒星はなかった。