元WBC世界ヘビー級王者で、現在12位にランクされるデオンテイ・ワイルダー(米)=44勝(43KO)4敗1分=に対し、人気YouTuberで、WBA世界クルーザー級14位にランクイされるジェイク・ポール(米)=12勝(7KO)1敗=が次戦相手として興味を持ち、対戦交渉をスタートさせている。
ポールは6月28日(日本時間29日)に米・カリフォルニア州アナハイムのホンダ・センターで行われたクルーザー級10回戦で、元WBC世界ミドル級王者フリオ・セサール・チャベスJr(メキシコ)=54勝(34KO)7敗1分1NC=を大差の判定で破り世界ランキング入り。WBC世界クルーザー王者バドゥ・ジャック(スウェーデン)=29勝(17KO)3敗3分=への挑戦を熱望。
ポールはWBCからジャックとの対戦を指令されている、同級1位ノエル・ゲボール(アルメニア)=27勝(12KO)3敗=をプロモートするドン・キングに対し、”身を引くように”要求したが、「消え失せろ!」と一蹴されている。その後、元3団体統一世界ヘビー級王者アンソニー・ジョシュア(英)=28勝(25KO)4敗=との対戦話が浮上。サウジアラビアのトゥルキ・アラルシク大臣は、ポールがジョシュアが断然優位となる99vs1の報酬分割提案を受け入れた事を明らかにしていたが、実現の気配はない。
自らモスト・バリュアブル・プロモーション(MVP)を主宰するポールは、8月23日(日本時間24日)に米・フロリダ州オーランドのカリビ・ロイヤル・オーランドで、DAZN放映のWBAダブル暫定世界戦興行を開催。人気と豊富な資金力を併せ持っている。

ターゲットとされたワイルダーは10月には40歳になる。2020年以降、タイソン・フューリー(英)戦での連敗を含め1勝4敗(3KO負)。昨年6月1日(日本時間2日)にサウジアラビア・リヤドのキングダム・アリーナで行われたチャン・ツィーレイ(中国)=27勝(22KO)3敗1分=戦では、チャンの右フック・カウンターの前に5回1分51秒KO負け。すっかり自信を無くしているような戦いぶりでの惨敗だった。
試合後は引退を勧める声が多数あがっていたが、これを振り切り6月27日(日本時間28日)に米・カンザス州ウィチタのチャールズ・コッホ・アリーナで、38歳のティレル・ハーンドン(米)=24勝(15KO)6敗=を7回2分16秒TKOで破り、約2年8ヶ月ぶりの勝利を挙げた。しかし、パンチのスピード、迫力は往年の面影はなく、世界クラスの選手と比べると明らかに力が落ち、パンチを交わす事だけに専念するかのような戦いぶりのハーンドンに対し、ドンピシャの一発を打ち込む事は出来なかった。
「僕は長い間、休養していた。長い道のりだったけど、リングに戻れてうれしいよ。みんなが本当に見たかったものを見せられなかったのは分かっているけど、これからどんどん良くなっていくよ」(ワイルダー)

また、ワイルダーには再起戦の対戦相手候補にあがっていた、38歳の元UFC王者で元WBC世界ヘビー級10位のフランシス・ガヌー(カメルーン)=2敗=も対戦に名乗りをあげ、「今年中に対戦したい」と話し、ワイルダー陣営と接触する事を明かしている。
ネームバリューがあるワイルダーだけに対戦相手候補は多数。一気にトップレベルとの対戦を目指すのか、イージーファイトを重ね、さらに自信を取り戻していくのかが注目される。ポールと戦えば相当の報酬を得る事になるのは間違いないが、他に得るものは何もない。果たしてワイルダーの選択は?。