元WBC世界ヘビー級王者で、現在12位にランクされるデオンテイ・ワイルダー(米)=43勝(42KO)4敗1分=が、6月27日(日本時間28日)に米・カンザス州ウィチタのチャールズ・コッホ・アリーナで、ティレル・ハーンドン(米)=24勝(15KO)5敗=と対戦する事が決定。放映はBLKプライム。

39歳のワイルダーは2018年12月に引き分けていたタイソン・フューリー(英)との再戦で、7回TKOで敗れ初黒星を喫すると共に世界王座から陥落(2020年2月)。2021年10月に行われたフューリー第3戦では、ダウン応酬の大激闘を演じたが11回KOで敗れ世界王座奪還に失敗。

2022年10月に米・ニューヨーク州ブルックリンのバークレイズ・センターで行われた再起戦では、ロバート・ヘレニウス(フィンランド)=32勝(21KO)5敗=を、初回、右強打一発で粉砕しKO勝ちを収めたが、2023年12月23日(日本時間24日)にサウジアラビア・リヤドのキングダム・アリーナで行われた、ジョセフ・パーカー(ニュージーランド)=36勝(24KO)3敗=戦では、全く良いところなく12回判定負け。

昨年6月1日(日本時間2日)に同所で行われた、チャン・ツィーレイ(中国)=27勝(22KO)3敗1分=戦では、チャンの右フック・カウンターの前に5回1分51秒KO負け。すっかり自信が無くなったような戦いぶりで、試合後、引退を勧める声が多数あがっていた。

しかし、ワイルダーは不調の原因を右肩の負傷によるものであったとし、「俺には7人の子供がいるんだ。多くの人間の面倒を見て来たが、たくさんの人間に裏切られた。それは失恋よりもひどいことだ」と話し、精神的に追い詰められていたことを告白。

それでも、映画”ロッキー”のシルベスター・スタローンの、「どれだけ打たれても、前に進み続けることができるかということだ 」という言葉に感銘を受けたワイルダーは、不安定な精神面に付いては専門家にサポートを受け、新しくトレーナーに元世界ライトヘビー級王者アントニオ・ターバー(米)を迎え入れ、最後の挑戦としてリングに戻ることを目指していた。

再起戦相手には当初、元UFC王者で元WBC世界ヘビー級10位のフランシス・ガヌー(カメルーン)=2敗=との対戦を希望していたがこれはなく、36歳のカーティス・ハーパー(米)=18勝(12KO)11敗1NC=との対戦が浮上。ハーパーは契約書にサインし、返送した事を明らかにしていたが、結局、37歳のハーンドンとの対戦が正式に決った。

ハーンドンは2023年10月に東京五輪スーパーヘビー級銀メダリストのリチャード・トーレスJr(米)=12戦全勝(11KO)=と対戦し、あっさり2回TKO負け。その後、3連勝しているがワイルダーとの試合は約1年2ヶ月ぶりの試合となる。普通であれば、ワイルダーの圧勝が予想される試合だが、この程度の相手を選ぶことに不安も残る。