日本人男子選手として初めて、世界2階級同時制覇王者となった矢吹正道(LUSH緑)=18勝(17KO)4敗=選手が、4月8日付で、IBF世界ライトフライ級王座を返上。今後はIBF世界フライ級王座を防衛し、王座統一戦の実現を狙う事になった。
矢吹選手は3月29日に愛知県国際展示場で、ライトフライ級王座を保持したまま、IBF世界フライ級王者アンヘル・アヤラ(メキシコ)=18勝(8KO)1敗=に挑み、痛烈な12回1分54秒TKO勝利で2階級制覇に成功。IBFからは120日以内に同級1位フェリックス・アルバラード=42勝(35KO)4敗=との対戦を義務付けられているが、アヤラ戦で負った右頬の傷の完治を待って対戦する事になる。
36歳のアルバラードは2013年12月31日に大阪府立体育館で、井岡一翔(志成)=31勝(16KO)3敗1分=選手が保持していたWBA世界ライトフライ級王座に挑み12回判定負け。これがプロ19戦目での初黒星だった。2014年6月にはアルゼンチン・ブエノスアイレスに遠征。WBA世界フライ級王者ファン・カルロス・レべコ(アルゼンチン)の持つ王座に挑戦したが、またもや判定で敗れ、王座奪取はならなかった。
それから4年、2018年10月29日にフィリピン・パサイで行われたIBF世界ライトフライ級王座決定戦で、ランディ・ペタルコリン(フィリピン)を7回TKOで破り王座を獲得。2020年2月にはゴールデン・ボーイ・プロモーションとプロモート契約を締結。WBC世界同級王者だった寺地拳四朗(BMB)=25勝(16KO)1敗=選手との王座統一戦が実現しかけた時もあったが、これは自身の体調不良により頓挫。
2度の防衛を果たした世界王座は、減量苦から2022年3月に返上。同年11月、IBF世界フライ級王者サニー・エドワーズ(英)=21勝(4KO)2敗=の持つ王座に挑戦したが12回判定負け。2023年10月にメキシコ・メリダで行われたIBF世界同級挑戦者決定戦では、初回に先制のダウンを奪うもアヤラに12回僅差の判定負け。114-113×3のスコアでアヤラの手が挙がったが、アルバラードには気の毒な判定だった。
昨年12月27日(日本時間28日)にはニカラグア・マナグアで自らのプロモートにより、IBF世界フライ級挑戦者決定戦を開催。トビアス・レイエス(アルゼンチン)=16勝(15KO)1敗1分=を12回判定で破り、挑戦権を獲得した。好戦的なアルバラードと矢吹選手の対戦は、激しい打撃戦が予想されるが、一発の威力で勝る矢吹選手が剛腕対決を制すると見る。
矢吹選手が返上したライトフライ級王座の決定戦は、同級1位クリスチャン・アラネタ(フィリピン)=25勝(20KO)2敗=と、同級2位タノンサック・シムスリ(タイ)=38勝(34KO)1敗=により争われる事が決定的。昨年、王座を保持していたシベナティ・ノンティンガ(南ア)=13勝(10KO)2敗=との対戦を指令されながら、拳の負傷で手術を余儀なくされ、矢吹選手に挑戦を譲ったアラネタは、既に準備を整え、タノンサックとの対戦を待ちわびている。
タノンサックの唯一の黒星は、2022年9月に日本のリングで矢吹選手に7回TKO負けを喫したもので、再起後は14連勝(12KO)中。昨年12月15日に大阪・住吉スポーツセンターで行われたIBF2位決定戦では、元WBO世界ミニマム級王者谷口将隆(ワタナベ)=19勝(13KO)5敗=選手に、スプリットの判定勝ちを収めている。
今後はIBFからの正規な指令を待ち、両陣営が交渉に入る事になるが、開催地次第で勝敗は大きく変わりそうで、今後の動向が注目される。
新王者に一番近い距離にいるのが、同級3位ジェイソン・べイソン(フィリピン)=14勝(8KO)1敗1分1NC=で、国際マッチメイカーのウリセス佐藤氏によりサポートされるベイソンは、2022年以降、インドネシア、ドバイ、日本、タイで戦い続け、5勝(3KO)1敗1NC。唯一の黒星は2023年2月4日、東京・後楽園ホールで、前WBA世界フライ級王者ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)=21勝(11KO)3敗1分=選手に10回判定負けを喫したものだが、以後はライトフラ級で戦っている。
そして4位には、4月8日に行われた日本ライトフライ級タイトルマッチで、王者でWBC世界同級3位、WBO8位、IBF12位にランクされる川満俊輝(三迫)=11勝(7KO)2敗=選手を序盤から圧倒。圧巻の6回2分26秒TKOで破り日本王座を獲得した高見亨介(帝拳)選手が控える。
強敵の川満選手に完勝した高見選手は、「世界戦をやりたいです」とアピール。これに対し、辛口の帝拳ジム・本田明彦会長も「久しぶりに素質のあるチャンピオン。世界ランクも高いし(世界戦は)いつやってもいい」と、ゴーサイン。4月5日に23歳の誕生日を迎えたばかりの高見選手は、慢心しなければこれからも大いに伸びるだろう。
高見選手がまだ小学校へ入る前、ミットを持ったことがあるが、末恐ろしい子がいるもんだと感じさせられたものです。帝拳ジムでコンビを組むのは、やり手で知られる経験豊富な田中繊大トレーナー。何度か後楽園ホールで高見選手の試合を観ましたが、周囲のファン、関係者からは「高見は本物」という声が聞こえてきました。いよいよ接近した世界王座。挑戦の時が楽しみです。
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