6月14日(日本時間15日)にアルゼンチン・ブエノスアイレスのカジノ・ブエノスアイレスで開催される、WBA・“KO to Drugs”・フェスティバルで行われる、WBA世界バンタム級暫定王座決定戦に出場する、42歳の元世界5階級制覇王者(暫定含)で同級5位のノニト・ドネア(フィリピン)=42勝(28KO)8敗=と、同級8位のアンドレス・カンポス(チリ)=17勝(6KO)2敗1分=の前日計量が同地で行われ、ドネアは117.9ポンド、カンポスはリミットの118ポンドでクリア。

2023年7月29日(日本時間30日)に米・ラスベガスのT・モバイル・アリーナで行われた、WBC世界バンタム級王座決定戦で、アレクサンドロ・サンティアゴ(メキシコ)=28勝(14KO)5敗5分=に12回判定負けを喫して以来、約1年11ヶ月ぶりのリング登場となるドネアだが、現地でのネームバリューは高く、ドネアの試合を観る事に興奮を隠せないファンもいる。
ドネアはかつて戦った元WBOフライ級、スーパーフライ級王者オマール・ナルバエス(アルゼンチン)と再会。旧交を温め合うシーンはメディアにより大きく報道され、地元ファンの歓心を読んでいる。

ザ・フラッシュvsザ・ハリケーンは、2011年10月22日(日本時間23日)に米・ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデン・シアターで行われ、アルゼンチンの英雄ナルバエスを、ドネアが12回大差の判定で破り、WBC&WBO世界バンタム級王座を防衛。ナルバエスの3階級制覇を阻止し初黒星を与えた。
そのドネアがアルゼンチンでリング復帰を果たし、いきなり世界タイトルを獲得出来るのかは、いくら暫定王座といえども大きな注目を集める。
そして、予定されていた選手のトラブルにより対戦相手探しに躍起になったプロモーターが、地域性も考慮し探し出した、元来フライ級のカンポスの故国チリでも、暫定といえども世界タイトルを獲得するチャンスが来た事は、チリのボクシング史を塗り替えるチャンスとされ、国民的関心事となっている。

「このチャンスを逃すなんてどうかしている。チームとしては落ち着いているし、ハッピーだし、これまで以上に準備万端で試合に臨んでいる」
「ノニト・ドネアは僕の憧れで、彼の試合を見て育ったから、彼とリングを共にする機会を与えられるなんて夢のようだよ。 ”アイドルがライバルになるまで一生懸命練習する”ということわざがありますが、まさにそれが私に起こったことです」
「もしこの試合を数年前に受けていたら、勝てたかどうかは分からない。だけど、40代の彼はピークの状態ではない。彼を軽視することは決してないが、勝利のためにできる限りの準備をして来た。チリに世界タイトルを持ち帰ります」
「勝てば、私の前に広がる可能性は無限です」と、28歳のカンポスは自信満々で勝利を約束。地元メディアも、カンポスが不可能を成し遂げた事を国民に届けたいと、その歴史的瞬間を待ち望んでいる。
いきなり5位のドネアと、突然8位のカンポスによる暫定王座決定戦の勝者は、7月30日に横浜BUNTAIで行われる、WBA世界バンタム級レギュラー王者アントニオ・バルガス(米)=19勝(11KO)1敗1NC=と、同級3位の比嘉大吾(志成)=21勝(19KO)3敗2分=選手の勝者と対戦する事になる。
しかし、休養王者 堤 聖也(角海老宝石)=12勝(8KO)無敗3分=選手の存在もあり、実現までの道のりはややこしくなる可能性も否定できない。
WBA世界選手権委員会は、適用される防衛戦期間の変更。その他の様々なルールの適用を一時停止する、明示的な権限を持っており、そのルールに基づき特別許可を与える事が出来るとされており、これは要するにどうにでも出来るという事であり、ビジネスが最優先されていくことになるだろう。