元WBC世界フライ級王者のアントニオ・アベラル(メキシコ)が逝去。詳細は不明だが、昨日、WBCのマウリシオ・スライマン会長が追悼の意を表した。享年66歳。メキシコ・グアダラハラ出身。生涯戦績39勝(32KO)13敗1分。
プロデビューは1975年4月、フレディ・カスティーヨ、ガブリエル・ベルナルらの同国人ライバルに苦杯をなめながらも、ランキングを上げたアベラルは、1979年2月にミゲル・カント(メキシコ)の持つWBC世界フライ級王座に初挑戦。カントの技巧の前に15回判定負けを喫したが、この試合で14度目の防衛を果たしたカントは、翌月韓国で朴賛希(韓国)=17勝(6KO)4敗2分=に敗れ世界王座から陥落している。

カントに敗れた後、8連勝(7KO)でWBC世界フライ級1位となったアベラルは、朴から王座を奪っていた大熊正二(新日本木村)=38勝(20KO)10敗1分=選手への指名挑戦者として来日。1981年5月12日に茨城県水戸市民体育館で大熊選手に挑戦したアベラルは、第7ラウンド、壮絶な打撃戦の末に左フックを叩きつけ56秒KO勝ちで王座を奪取。
挑戦者として破格の1500万円のファイトマネーを獲得し、8連続KOで世界王者となったアベラルは、同年8月30日に韓国・ソウルで金泰式(韓国)=17勝(13KO)3敗=の挑戦を、壮絶な2回KOで撃退し初防衛に成功。まだ22歳の若さで、ロングランが期待された。
しかし、1982年3月20日(日本時間21日)にメキシコ・タンピコで行われた2度目の防衛戦で、初回、プルデンシオ・カルドナ(コロンビア)=39勝(27KO)23敗1分=の放った左フックで前のめりのままキャンバスへダイブ。そのままピクリとも動かない壮絶なKO負けで王座を失った。
階級を上げカムバックしたアベラルは、通算11度防衛の元WBC世界スーパーフライ級王者ヒルベルト・ローマン(メキシコ)と1勝1敗。3階級制覇王者となるウィルフレッド・バスケス(プエルトリコ)には8回TKO勝ち。
1987年7月25日(日本時間26日)に米・フロリダ州マイアミで、27連勝中のWBC世界バンタム級王者ミゲル・”ハッピー”・ロラ(コロンビア)に持つ王座に挑んだが、4回TKO負け。これがラスト・ファイトとなった。
大熊選手との一戦。韓国で金を破ったV1戦では圧倒的勝利を収め、強烈な印象を残したアベラルでしたが、カルドナに倒されたKOシーンはショッキングなものでした。ご冥福をお祈り申し上げます。