WBC、IBF世界ヘビー級&WBAスーパー王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)=23戦全勝(14KO)=に、元WBC世界同級王者で現在13位にランクされるデオンテイ・ワイルダー(米)=44勝(43KO)4敗1分=が挑むタイトル戦は、実現に向け交渉が進展。日程と開催地が具体化された。

ウシクのマネジャー、エギス・クリマス(リトアニア出身、米在住)は、「ウシクとワイルダーの対戦が実現する可能性は非常に高い」とメディアからのインタビューに答え、試合は来年4月末から5月上旬にかけて米・ラスベガスかロサンゼルスでの開催が予定されていると語った。

「ワイルダーはオレクサンドルがまだ対戦していない最高の選手の一人だ。彼はまだ好調で、今もファイターとしての資質を保っている。だから興味深い相手だ。それに、相手はアメリカ人だ」(クリマス)

Oleksandr Usyk & Egis Klimas

ウシクはファビオ・ウォードリー(英)=20勝(19KO)無敗1分=との対戦を義務付けられたWBO王座を11月に返上。今月に入り次戦はワイルダーと戦う事を希望。WBCのマウリシオ・スライマン会長は、両者の対戦実現に向け全面的に支援する方針を明らかにしていた。

対戦希望を受けたワイルダーのマネージャー、シェリー・フィンケルは、「我々は間違いなく興味を持っている」と、対戦実現に意欲的な姿勢を見せ、IBF、WBA共にウシクの選択防衛戦履行に障害はなく、交渉は急進展。

40歳のワイルダーも世界ヘビー級王座返り咲きのチャンスにやる気を見せ、ウシク戦の前にIBF世界同級2位、WBO6位、WBC14位デリック・チゾラ(英)=36勝(23KO)13敗=との前哨戦を挟む考えを示していたが、これはなく、ダイレクトでウシクに挑戦する事になる。

2020年2月にタイソン・フューリー(英)=34勝(24KO)2敗1分=に7回TKOで敗れ世界王座を失ったワイルダーは、10月の再戦でも11回KO負け。最近はこの2試合を含め2勝4敗(3KO負)と振るわない。昨年6月、チャン・ツィーレイ(中国)=27勝(22KO)3敗1分=に5回KO負けを喫した試合では、すっかり自信を無くしているような戦いぶりでの惨敗で、引退を勧める声もあがっていた。

Deontay Wilder

ワイルダーは、「負けた時の方がチャンスが増えるなんておかしい。俺が頂点に立って相手をノックアウトしていた頃は、チャンスなんてなかったんだ」と語りながらも、予期せず巡って来た世界王座奪還の機会に飛びついた。

ウシクが米国で戦うのは2019年10月12日(日本時間13日)に米・イリノイ州シカゴのウィントラスト・アリーナで行われたヘビー級転向第一戦で、チャズ・ウィザスプーン(米)=38勝(29KO)4敗=を7回終了TKOで破って以来となる。ネームバリューがあるワイルダーは勝てる確率が高いうえに、ビッグマネーが得られる相手で、ウシク陣営の思惑にピッタリ。

勢いに勝る38歳のウシクの優位は動かないが、ワイルダーが伝家宝刀である右の一撃で世界をアッと言わせる可能性を期待するファンも少なくはない。咬ませ役となったワイルダーの意地に期待。