WBCのマウリシオ・スライマン会長は、世界フライ級王者リカルド・サンドバル(米)=27勝(18KO)2敗=と、暫定王者ガラル・ヤファイ(英)=9勝(7KO)1NC=による王座統一戦を指令した事を発表。また、ヤファイに義務付けた同級2位フランシスコ・”チワワ”・ロドリゲスJr(メキシコ)=39勝(27KO)6敗1分2NC=との再戦命令は取り消された。

サンドバルは7月30日に横浜BUNTAIで、寺地拳四朗(BMB)=25勝(16KO)2敗=選手を12回判定で破り、WBA、WBC世界フライ級王座を獲得。寺地選手との再戦は「寺地選手次第」という考えを示し、試合の判定が割れた事もあり、王座から陥落した寺地選手はフライ級1位にランクされている。

ヤファイは6月21日(日本時間22日)に英・バーミンガムのbpパルス・ライブ・アリーナで行われた暫定王座戦で、最終ラウンドにダウンを奪われ、ロドリゲスJrに判定負け。ロドリゲスJrが新暫定王者として認定されたが、試合後に行われた自主的アンチドーピング協会(VADA)によるドーピング検査で、興奮剤ヘプタミノールの陽性反応を検出。

WBCは試合を管理したBBBofC(英国ボクシング管理委員会)に対し、同試合の結果を「ノーコンテスト」に変更するよう要請。ロドリゲスJrの暫定王座は取り消され、ヤファイを暫定王者として復活させた。そして、ロドリゲスJrを当該違反判定の原因となったサンプルが採取された日から12ヶ月間、または2026年6月21日まで「保護観察状態」に置く事を発表した上で、ヤファイとの直接再戦を命じた。

Ricardo Sandoval vs. Galal Yafai

しかし、ロドリゲスJrの疲れ知らずの驚異的スタミナで押しまくられたヤファイは、試合後、ダメージから入院を余儀なくされ、回復まで2週間を擁するほどのダメージを被った。にもかかわらずスライマン会長は、ロドリゲスを12ヶ月間の出場停止ではなく「保護観察期間」とした上で、ヤファイとの直接再戦を命じた。これを知ったヤファイ陣営は、「馬鹿げている。まるで詐欺師だ」と怒り心頭。

薬物陽性選手と戦いひどいダメージを受けたヤファイに対する配慮が感じらず、薬物の摂取は偶発的なものであったというロドリゲJrスの主張を容認したこの裁定には、ヤファイ陣営ばかりでなく、世界中の関係者、ファンからも批判の声があがっていた。

正規王者サンドバルとの対戦を指令された事は好材料だが、ロドリゲスJr戦ではかなり打ちこまれ、相当なダメージを負ったヤファイの再起は時間を要すると思われ、テスト試合からという事になろう。今後の動向に注目。