6月21日(日本時間22日)に英・バーミンガムのbpパルス・ライブ・アリーナで行われたWBC世界フライ級暫定王座戦で、ガラル・ヤファイ(英)=9勝(7KO)1NC=を圧倒。最終ラウンドにはダウンを奪い、12回判定勝ちで暫定王座を獲得していたフランシスコ・”チワワ”・ロドリゲスJr(メキシコ)=39勝(27KO)6敗1分2NC=の暫定王座は取り消し。WBCはヤファイを暫定王座に復活させ、試合結果はノーコンテストに変更された。
ロドリゲスは試合後に行われた自主的アンチドーピング協会(VADA)によるドーピング検査で、興奮剤ヘプタミノールの陽性反応を検出。WBCはWBC規則および規程ならびにWBCのCBPプロトコルに基づいた調査を実行。

WBCは事実と科学的根拠の徹底的な審査を行い、ロドリゲスが禁止物質の意図しない摂取の状況を認めたこと。2つの禁止物質を含む市販のエナジードリンクの使用を報告していた事を考慮。ロドリゲスの禁止物質の摂取は偶然で、意図的ではなく、知らずに行われたものであり、パフォーマンス向上を目的としたものではなかったと裁定。WBCとロドリゲスは以下の条項と結論を含む裁定同意書に合意した。内容は以下の通リ。
1、WBCはロドリゲスを「保護観察状態」に置く。その期間は当該違反判定の原因となったサンプルが採取された日から12ヶ月間、または2026年6月21日までとする。
2,ロドリゲスの暫定タイトルは取り消され、ガラル・ヤファイをWBC暫定世界フライ級チャンピオンに復帰させる。ヤファイとロドリゲスとの直接再戦を命じる。
3、ロドリゲス対ヤファイの試合の結果を、WBCの記録において「ノーコンテスト」に変更する。WBCは、当該試合を監督した権限を有するBBBofC(英国ボクシング管理委員会)に対し、同試合の結果を「ノーコンテスト」に変更するよう要請します。
4、ロドリゲスが保護観察期間中にWBC CBP禁止物質を摂取したとの不利な判断、またはWBCが合理的な証拠と判断する他の状況が発生した場合、WBCはロドリゲスに対し、WBC活動への参加、またはWBCの特典を受けることを無期限に停止し、追加の罰則を適切と判断した場合、調査なしで懲罰に課す。
5、VADAは、ロドリゲスの保護観察期間中に、自己負担で最低3回のランダム検査を受けるよう手配する。
6、保護観察期間中、ロドリゲスはWBC栄養委員会が設計・実施するプログラムに参加する。当該プログラムは、不利な判断の事情を踏まえ、ロドリゲスの健康と安全に関するWBCの懸念に対応することを目的とする。当該プログラムは、少なくとも30日間の期間中に週1回(合計4回)のカウンセリングセッションを含むものとし、禁止物質の摂取防止に焦点を当て、ロドリゲスの単独負担で実施されるものとする。

ヤファイとの試合に於いてロドリゲスは、試合開始からエネルギッシュな動きで攻勢に出ると、疲れ知らずの驚異的スタミナでヤファイを押しまくり、最終ラウンドには右フックからの連打でダウンを奪い圧倒した。試合後、ダメージから入院を余儀なくされたヤファイは、回復まで2週間を擁している。
この裁定を受けたヤファイ陣営は、「まったく馬鹿げている」と怒り心頭。ロドリゲスが12ヶ月間の出場停止ではなく、「保護観察期間」を終えた後、ヤファイとの再戦を義務付けた事に対し、「まるで詐欺師だ」とあきれ返っている。ヤファイ陣営がどうでるか。今後に注目。