WBC世界ライト級暫定王座決定戦。WBC世界フェザー級王者スティーブン・フルトン(米)=23勝(8KO)1敗= vs WBC世界スーパーフェザー級王者オシャキー・フォスター(米)=23勝(12KO)3敗=。12月6日(日本時間7日)、米・テキサス州サンアントニオ、フロスト・バンク・センター。プレミア・ボクシング・チャンピオンズ興行。

当初フォスターの保持するスーパーフェザー級王座にフルトンが挑戦する予定だった試合は、前日計量でフルトンがスーパーフェザー級リミットを2ポンド超過する132ポンドを計測。再計量までの2時間の猶予を使わずにギブアップし計量失格となった。これを受けWBCは急遽、この試合をライト級暫定王座決定戦として開催する事を承認。世界中を驚愕させた。

試合は初回からスピーディーな攻防戦が展開された。共に速いジャブを突き、フルトンは右オーバーハンドを狙う。2回になるとフォスターが圧力を強めジャブ、ワン・ツーをヒット。緊迫感ある展開となったが、徐々にジャブを軸にフォスターが距離を支配。4回、フォスターはサウスポーにスイッチ。左構えでもフォスターのジャブは速く、左ストレートのタイミングも抜群。手数でもフルトンを上回り、完全に主導権を握った。

フォスターは小刻みなステップワークでフルトンに圧力を掛け、フルトンの放つ右はバックステップで外す。サウスポースタイルから放つフォスターのジャブは速く、フルトンは外すことが出来ない。

9回、フォスターはオーソドックスに戻す。再び目先を変えられたフルトンは、フォスターのジャブを浴び、苦境へ追い込まれて行った。


フォスターのロングレンジから右ストレートが決まる。何とか突破口を開きたいフルトンは接近戦を挑むが、フォスターは全く寄せ付けない。

11回、フォスターは再びサウスポーへスイッチ。スピードは衰えず、ジャブ、左ストレートでフルトンを圧倒。フォスターのプレスの前にフルトンは前に出る事が出来ず、手が出ない。

最終ラウンド、フォスターはパンチの強度を高めフルトンを追った。フルトンは逆転の右一発を狙うが、フォスターはバックステップで軽く交わし、プレスを掛け続けた。試合全般を通じフォスターはほとんど打たれずに12回終了ゴング。

判定は文句なくフォスター。

公式スコアはダグラス・ロビンソン(米)119-109、エスター・ロペス(米)118-110、クリス・テレス(米)117-111で、いずれも大差でフォスターを支持。

見事なスピード・ボクシングでフルトンを完封し2階級制覇に成功したフォスターは、試合後、WBC世界ライト級王者シャクール・スティーブンソン(米)=23戦全勝(11KO)=とのWBC王座統一戦に興味を示しているが、スティーブンソンは1月31日(日本時間2月1日)に米・ニューヨークで、WBO世界スーパーライト級王者テオフィモ・ロペス(米)=22勝(13KO)1敗=への挑戦が決定済で、両者の対戦はスティーブンソンがロペス戦後、ライト級に復帰する場合に限られる。
全く見せ場を作れず敗れたフルトンは、潔くフォスターを祝福。
「素晴らしいゲームプランを完璧に実行したね。俺については、みんなもう分かってるだろ?。必ず戻ってくる。もっと強くなってな!。いつもそうしてるんだから」
スーパーフェザー級オーバーのウェイトで、フォスターにスピード負けしたフルトンの今後はウェイトとの相談になろう。フェザー級王座に固執してもプロモーターはオーバーウェイトを心配せざるを得ず、まずは信用を回復しなければならない。WBCがどんな指令を出すのか注目される。
