IBF世界ミニマム級タイトルマッチ。王者ペドロ・タドゥラン(フィリピン)=17勝(13KO)4敗1分=に、前王者で同級4位にランクされる重岡銀次朗(ワタナベ)=11勝(9KO)勝1敗1NC=選手が挑んだリベンジマッチは、5月24日、大阪・インテックス大阪で開催された。

昨年7月28日に滋賀県大津市の滋賀ダイハツ・アリーナで、重岡選手を9回2分50秒TKOで破り王座を獲得したタドゥランは、11月23日に韓国・済州島で、同級3位(1、2位は空位)シュ・テンシン(中国)=14勝(12KO)1敗=との防衛戦が発表されたが、WBA&WBO世界同級王者オスカー・コラーゾ(プエルトリコ)=12戦全勝(9KO)=との王座統一戦を希望し、これをキャンセル。
コラーゾ陣営も望むところで王座統一戦実現への期待が高まったが、コラーゾが結婚による休暇を取る事になり計画は頓挫。IBF世界ライトフライ級14位にランクされるアルアル・アンダレス(フィリピン)=16勝(6KO)2敗3分=との防衛戦に切り替えられたが、これも交渉がまとまらず、重岡選手との再戦に舵を切った。


挑戦者決定戦への出場を決めていた重岡選手にとっては願ってもないチャンスで気合十分。王座奪回へ並々ならぬ決意を秘めリングに登場。

初回、重岡選手は足を使って動きジャブ。

タドゥランは圧力を掛けながらジャブを放ち距離を詰めて来る。


重岡選手の左ボディストレートが鮮やかに決まるが、タドゥランはお構いなしに前進。強い左を重岡選手の肩越しに叩きつけた。

タドゥランはIBFルールによる午前8時の当日計量で、リミットの52.16キロを240gオーバー。30分後の再計量は140gのオーバー。さらに40分を賭けてリミットをクリアしている。試合への影響が心配されたが、最初からハイペースで飛ばした。

接近すると放つ左アッパーは重そうで、しつこかった。

重岡選手はよく動いて、左ストレートをカウンターでヒット。

タドゥランは被弾にもお構いなく前進し、重岡選手を押し込む。


重岡選手の左がタドゥランを捕らえるが、王者はすぐに打ち返す。


重岡選手は足を止めずにジャブ、そして左ストレートをカウンター。

タドゥランは止まらず、重い左を打ち込む。




重岡選手のパンチもヒットするが、とにかくタドゥランは止まらない。ガス欠の兆候もなく、重そうな左で前に出続けた。


初戦同様右目下を腫れさせながらも重岡選手は奮闘。ヒット&ランでパワーのタドゥランと渡り合うが、タドゥランの前進は止まらない。


両者の激しいせめぎ合いは終盤まで続いた。


ともかくタドゥランの左はパワーがあった。


最終ラウンド、重岡選手は軽快に足を使い打っては離れた。そして試合終了ゴング。

チャーリー・フィッチ(米)主審は、タドゥランの右手を挙げた。


公式スコアはギル・コ(フィリピン)115-113、中村勝彦(日本)118-110でタドゥランと、デイブ・ブラスロー(米)115‐113重岡選手のスプリット。重岡選手も良く動きヒットを奪ったが、捌いたという印象はなく、タドゥランの攻勢と、ダメージングブローに重きを置くと、118-110のスコアもあり得る。

判定を聞いた重岡選手は力を落としたのか、コーナーでぐったりとし、意識を失ったような状態で担架に乗せられ退場。容態が心配されています。

重岡選手のボディーブローでダメージを負ったことを認めながらも、最後まで押し切り勝利を掴んだタドゥランは、凱旋帰国し大歓迎を受けたが、ダメージを負った重岡選手の容態を心配。フィリピン国内、また、世界のファン、関係者からも重岡選手の無事を願う声が多数あがっています。