WBC世界スーパーライト級暫定タイトルマッチ。王者イサック・”ピットブル”・クルス(メキシコ)=28勝(18KO)3敗1分= vs WBA世界スーパーフェザー級王者ラモント・ローチ(米)=25勝(10KO)1敗2分=。12月6日(日本時間7日)、米・テキサス州サンアントニオ、フロスト・バンク・センター。プレミア・ボクシング・チャンピオンズ興行。

いつものようにマスクを着けてリングインのクルス。ローチはリングに上がった段階でWBAからスーパーフェザー級王座を剥奪され、暫定王者のジェームス・”ジャザ”・ディケンズ(英)=36勝(15KO)5敗=がレギュラー王者に昇格。

ジミー・レノンJrのコールで試合開始。

クルスはいつものように初回から前傾姿勢で距離を詰め、右オーバーハンド、左フックを強振。強い左ボディで足を使うローチに襲い掛かった。ローチは被弾しながらも左フックをカウンターで合わせる。しかし、クルスはお構いなく左右の強打を上下に打ち込み攻勢。

3回、ローチは足を使いリングを大きく使いクルスの攻撃を分断していたが、クルスの左フックが決まるとバランスを崩し大きく後退。「つまずいてしまった。グローブをタッチしてしまったからあれはダウンだ」というローチは、ジェームズ・グリーン(米)主審の8カウントを聞いた。


4回、クルスは接近しローチのボディを打ち、右ストレートを叩き込む。

L字ガードのローチは強い左フックをクルスの出鼻にカウンター。このパンチは有効で、クルスはだんだんと不用意に飛び込めなくなっていく。


7回、クルスはローチのボディを狙うが攻めあぐね、揉み合いからクリンチが増える。クルスは背面への打撃で減点1を取られるが不満顔。


8回、9回とローチの左フックを警戒するクルスは足を使い距離を取り、ジャブを使い左フックから右ストレート。しかし、命中率は今一つで攻めあぐねている。ローチは自ら仕掛けず左フックをカウンター。


11回、互いにジャブを突き合い、僅かなヒットを奪い合うクロスゲームとなったが、終了間際、クルスの右ストレート、左フックがクリーンヒット。


最終ラウンド、クルスは前進しローチは足を使い動くが、ローチの隙をつきクルスの鋭い左フックがヒット。


ローチも左フックを返し、両者激しく打ち合って試合終了ゴングを聞いた。


グリーン主審は両者の手を挙げたが、ローチは不快感をあらわにした。

公式スコアはクリス・テレス(米)115-111クルスと、ネイサン・パーマー(米)113-113、コリー・A・サントス(米)113-113。元王者、識者、ファンの意見は積極的に攻め、ダウンを奪ったたクルスの勝ちを推す声と、ローチが試合をコントロールしカウンターも機能していた。ローチのテクニックが上回ったとする者に分かれている。

激闘を終えた二人は互いに相手をリスペクト。対戦相手に敬意を払っていた。両選手が怒りの矛先を向けたのは審判団で、クルスはジェームズ・グリーン(米)主審が適切な仕事をしていなかったとして、WBCに審査を依頼する考えを明らかにしている。
「やるべきことはやった。レフェリーは彼に味方していた。ジャッジも同様だ。再戦は絶対にやる。俺はデービスじゃない。彼に味方しない別のレフェリーでな。あのレフェリーが俺から勝利を奪ったんだ」と息巻いた。
一方のローチは、「2回連続で、これはおかしい。対戦相手と審判の両方と戦うことはできない。私は間違いなく彼を上回っていたと思う」と語り、5回に右拳を痛めた事を告白。「次のラウンドで彼がジャブを放ち、俺はそれをブロックしたが激痛が襲った。骨折していると思う。だけど、この負傷を言い訳にしたくない。片手でも勝てるだけのことはしたと思う」と付け加えた。
「最善策はすぐに再戦することだと思う。ただ、公平な条件で戦えたならと願うばかりだ」というローチの願いは果たして聞き入れられるのか。今後の動向に注目。
