5月24日、大阪・インテックス大阪で開催された、「3150 × LUSHBOMU vol.6」のメインイベント、IBF世界フェザー級タイトルマッチ。2階級制覇の王者アンジェロ・レオ(米)=24勝(12KO)1敗=に、元WBO世界バンタム級、元WBC世界スーパーバンタム級暫定王者で、同級1位の亀田和毅(TMK)=42勝(23KO)4敗=選手が挑んだ。

31歳のレオは2021年1月に米・コネチカット州アンカスビルで行われた、WBO世界スーパーバンタム級王座の初防衛戦で、スティーブン・フルトン(米)=23勝(8KO)1敗=に12回判定負けを喫し王座陥落。フルトン戦での敗戦が精神的に尾を引いたと言うレオは、再起戦に勝利した後、約2年5ヶ月のブランクを作る。
しかし、2023年後半から活発なリング活動を続け、しぶとく再浮上。昨年8月10日(日本時間11日)に米・ニューメキシコ州アルバカーキのティンレー・コロシアムで、ルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)=31勝(18KO)2敗=の持つ王座に挑戦したレオは、第10ラウンド、左フック一発でロペスを失神KO。故郷で2階級制覇を達成。

33歳の亀田選手は約5年10ヶ月ぶりの世界戦。この試合に全てを賭ける。


IBFスーパーバイザーは、ジョージ・マルティネス(カナダ・右から二人目)。

両選手をコールするのは小川ゆうじリング・アナ。本業は「ナニワプロモーション」所属のムード歌謡歌手。「演歌の職人」を目指している。

試合開始。亀田選手の右ストレートは届かず、レオはすかさず左ボディ。


初回からレオの左アッパーが亀田選手を捕らえる。このパンチで亀田選手も容易に出られなくなった。そして、レオの左ジャブは速くて強かった。



序盤戦。亀田選手のジャブは速いが、踏み込みがなくレオには届かない。レオは冷静に亀田選手の動きを読み、ポイントを重ねて行った。


第5ラウンド、これまでの流れを変えようと、意を決した亀田選手はプレスを強め前進。左フックを上下に打ち分け、明確にポイントを奪った。


しかし、したたかなレオはズルズルと亀田選手のペースに持ち込まれる事はなく、接近戦ではボディを叩き、離れてはジャブを飛ばす。


必死の形相でレオに迫る亀田選手。レオは固いブロックから強い左フックを狙う。


中盤以降、要所で放たれるレオのジャブは良く伸びた。


接近戦でレオに左アッパーを突き上げる亀田選手。しかし、レオも低い姿勢から右を返す。


レオは冷静に亀田選手のブロックの隙間を狙い、ヒットを奪う。


亀田選手、得意の左ボディは有効で、レオの動きも止まりかける。試合は激しいデッドヒートが繰り返された。


しかし、巧者レオもすかさず左ボディを打ち返す。

後半になると圧力を強めた亀田選手に対し、レオは足を使い動いてジャブ。


亀田選手は必至で追い上げるが、レオはよく見て左を伸ばす。

11回、レオにも余裕はないが、手数をまとめてはクリンチ。離れればジャブを飛ばし、巧妙な戦術で貴重なポイントを奪った。


最終ラウンドを前にした両陣営。


レオは動いて距離を取りジャブ。接近すると左右フック、アッパーで手数をまとめる。亀田選手は気迫の攻勢でレオに詰め寄り、右ストレート、左フックをヒット。

激闘終了。勝者はレオ。亀田選手の気迫の追撃はあと一歩届かなかった。


公式スコアはギル・コ(フィリピン)116-112、カール・ザッピア(オーストラリア)115-113でレオと、リチャード・ブルアン(カナダ)114-114の2-0。

試合巧者ぶりを発揮したレオがうれしい初防衛に成功。今後は王座統一を目指す考えを明らかにしたが、「タイミングが合えばいつでも対戦したい」と、4団体統一世界スーパーバンタム級王者井上尚弥(大橋)=30戦全勝(27KO)=選手との対戦に言及。
ラモン・カルディナス(米)=25勝(14KO)2敗=が、2回に左フックで井上選手からダウンを奪ったシーンに付いて、「あの試合で、井上がもらいやすいパンチが何かはっきりしたと思う」と語り、「自信がある。私は彼に勝てるスタイルを持っている」と、ロペスを一撃で失神させた左フックで、井上選手撃退に自信を見せた。
一方、敗者の亀田選手は4ラウンドまでの戦いが悔やまれるが、5回以降、立て直した気迫は見事で、これまでで最高のファイトを演じたように思える。しかし、あと一歩及ばなかったのは事実で、このあと一歩が難しい。
「俺も出し切った」とさばさばした表情で語った亀田選手は、「フェザー級でいちばん強いと言われてる選手に、あと一歩のところまで行けた。これはもう自信にもなります」と話し、「全然ちょっとの工夫で行けると思う」と再起への意欲ものぞかせている。