IBFは世界ヘビー級4位フランク・サンチェス(キューバ)=25勝(18KO)1敗=と、同級6位フィリップ・フルゴビッチ(クロアチア)=18勝(14KO)1敗=による挑戦者決定戦を指令。両陣営は戦う意思のある事を表明し、既に交渉に入っている。勝者は1位位ランクされ王者ダニエル・デュボア(英)=22勝(21KO)2敗=への挑戦権を獲得する。

ただし、IBFは4月22日(日本時間23日)にデュボアに対し、同級2位(1位は空位)デリック・チゾラ(英)=36勝(23KO)13敗=との防衛戦を指令する予定で、サンチェスvsフルコビッチの勝者の指名挑戦が実現するのは来年になる。

フランク・サンチェスとフィリップ・フルゴビッチ

だが、デュボアは7月12日(日本時間13日)に英・ロンドンのウェンブリー・スタジアムで、WBO、WBC世界ヘビー級&WBAスーパー王者のオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)=23戦全勝(14KO)=と、世界ヘビー級王座の4団体統一を賭けて再戦する事で、同意した事が伝えられている。

両者は2023年8月26日(日本時間27日)にポーランド・ブロツワフのタルチンスキ・アリーナで対戦。WBO、IBF世界ヘビー級&WBAスーパー王者だったウシクと、WBAレギュラー王者デュボアの試合は、9回1分48秒KOでウシクが勝利したが、第5ラウンドにデュボアが放った右ボディアッパーで、ウシクが倒れながらもローブローと判断された事に対し、デュボア陣営のプロモーター、フランク・ウォーレンが強く反発。

「パンチはトランクスのウエストに当たっている。ルールミーティングで説明された基準では、ウエストはお尻との中間点。だからもっと低い。あれは正当な一撃であり、(試合は)止められるべきだった。彼には3分46秒のリカバリータイムが与えられたが、それは間違っていた。レフェリーの判断は間違っていたし、ローブローだったのなら、なぜ減点されなかったのか、いまだに理解できない」として、WBAに対し試合をノーコンテストと裁定し、再戦を命じるよう提訴。

デュボアの右アッパーがローブローとされる

しかし、WBAはローブローの判定とローブローを受けたボクサーの試合続行の可否は、レフェリーの厳格な権限であり、レフェリーはこれらの判定を下す唯一の権限を持っているとして、訴えを却下した。

ウシクに敗れた後のデュボアは、2023年12月にジャレル・ミラー(米)を10回TKOで破り再起に成功。昨年6月には無敗だったフルコビッチを8回TKOで破り、IBF暫定世界王座を獲得。その後、ウシクの返上により正規王者となると、昨年9月21日(日本時間22日)に英・ロンドンのウェンブリー・スタジアムで、98,128人の大観衆を集めた元3団体統一王者アンソニー・ジョシュア(英)=28勝(25KO)4敗=とのタイトル戦で、圧倒的不利を覆す5回59秒KO勝ち。

27歳のデュボアに対し、38歳のウシクは2024年5月と12月にサウジアラビア・リヤドで、前WBC王者タイソン・フューリー(英)=34勝(24KO)2敗1分=と戦い連勝。この2連戦でキャリア最高のファイトマネーを得た。

デュボアvsウシク2が実現すると王座統一戦が優先され、チゾラの指名挑戦は先延ばしとなり、サンチェスvsフルコビッチの勝者が挑戦権を行使出来るまでには、さらに時間を要する事になる。

32歳のサンチェスは昨年5月18日(日本時間19日)にサウジアラビア・リヤドで行われた、WBC世界ヘビー級挑戦者決定戦で、現WBC暫定王者アジット・カバイエル(ドイツ)=26戦全勝(18KO)=に7回KO負け。今年2月にメキシコ・ティファナで、4連続KO負け中のラモン・オリバス・エチェベリア(メキシコ)=18勝(12KO)25敗=との6回戦で、3回TKO勝ちを収め再起している。

フルコビッチ(32歳)はデュボアに敗れ初黒星を喫した後、4月5日(日本時間6日)に英・マンチェスターのコープ・ライブ・アリーナで、元WBO世界ヘビー級暫定王者ジョー・ジョイス(英)=16勝(15KO)4敗=との再浮上を賭けた10回戦で、判定勝利を収め再起に成功。