WBO、WBC世界ヘビー級&WBAスーパー王者のオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)=23戦全勝(14KO)=と、IBF世界同級者ダニエル・デュボア(英)=22勝(21KO)2敗=による王座統一戦は、7月19日(日本時間20日)に英・ロンドンのウェンブリー・スタジアムで開催される。当初予定されていた7月12日(日本時間13日)は、米・ニューヨークで『Ring Magazine 3』の開催が決った為に、1週間スライドして行われる事になった。

両者は2023年8月26日(日本時間27日)にポーランド・ブロツワフのタルチンスキ・アリーナで対戦。WBO、IBF世界ヘビー級&WBAスーパー王者だったウシクと、WBAレギュラー王座を保持していたデュボアの対戦は、9回1分48秒KOでウシクが勝利したが、第5ラウンドにデュボアが放った右ボディアッパーで、ウシクが倒れながらもローブローと判断された事に対し、デュボアのプロモーター、フランク・ウォーレンが強く反発。

「パンチはトランクスのウエストに当たっている。ルールミーティングで説明された基準では、ウエストはお尻との中間点。だからもっと低い。あれは正当な一撃であり、(試合は)止められるべきだった。彼に3分46秒のリカバリータイムを与えたレフェリーの判断は間違っていた。ローブローだったのなら、なぜ減点されなかったのか。いまだに理解できない」として、WBAに対し試合結果をノーコンテストに変更し、即時再戦を命じるよう提訴。

デュボアのパンチはベルトラインを捕らえているが、ウシクの急所は捕らえていないように見え、また、急所はノーファルカップで守られている。しかし、WBAはローブローの判定とローブローを受けたボクサーの試合続行の可否は、レフェリーの厳格な権限であり、レフェリーはこれらの判定を下す唯一の権限を持っているとして、訴えを却下していた。

27歳のデュボアは、2023年12月にジャレル・ミラー(米)を10回TKOで破り再起に成功すると、昨年6月にはフィリップ・フルゴビッチ(クロアチア)=18勝(14KO)1敗=を8回TKOで破り、IBF暫定世界王座を獲得。その後、ウシクの返上により正規王者に昇格した。

デュボアがジョシュアを倒す

昨年9月21日(日本時間22日)には英・ロンドンのウェンブリー・スタジアムで、英国記録となる98,128人の大観衆を集めた、元3団体統一王者アンソニー・ジョシュア(英)=28勝(25KO)4敗=との試合で、圧倒的不利の予想を覆し、5回59秒KO勝ちを収め初防衛に成功。

IBFは4月23日(日本時間24日)、デュボアに対し同級2位(1位は空位)デリック・チゾラ(英)=36勝(23KO)13敗=との防衛戦を義務付け、交渉期限を5月22日(日本時間23日)までとし、対戦同意に達しない場合は入札の開催を通告したが、デュボアは王座統一戦を行う事で例外が認められる。

38歳のウシクは2024年5月と12月にサウジアラビア・リヤドで、前WBC王者タイソン・フューリー(英)=34勝(24KO)2敗1分=と戦い連勝。この2連戦でキャリア最高のファイトマネーを得たが、フューリーとの再戦を優先させる為にIBF王座を返上している。

ウシクはWBOから暫定王者ジョセフ・パーカー(ニュージーランド)=36勝(25KO)3敗=との対戦を指令されているが、WBOはウシクがデュボアとの王座統一戦を優先させる場合、例外を適用するか否かの結論をまだ出していない。

パーカーは2月22日(日本時間23日)にサウジアラビア・リヤドで、デュボアの持つIBF王座への挑戦が決まっていたが、試合2日前にデュボアが体調不良により欠場。急遽、WBO暫定王座の防衛戦として、マーティン・バコレ(コンゴ)=21勝(16KO)2敗=と対戦が決まり、前日計量の時間を過ぎてから現地入りしたバコレに2回2分17秒TKO勝ちを収め初防衛に成功。

今後、WBO、パーカー陣営との折り合いをつけ、ウシクvsデュボア2は正式発表される事になるが、デュボアと同じくフランク・ウォーレン傘下の41歳チゾラは、パーカーの持つWBO暫定王座への挑戦を希望。両者は過去2度戦いパーカーの2勝だが、初戦はチゾラがダウンを奪いスプリット判定となり、ダイレクトリマッチが行われていた。