元IBF世界スーパーフェザー級王者で、現在WBC世界ライト級9位にランクされるテビン・ファーマー(米)=33勝(8KO)8敗1分1NC=と、WBA世界ライト級2位、IBF8位のフロイド・スコフィールド(米)=18戦全勝(12KO)=のライト級10回戦が決定。試合は6月28日(日本時間29日)に米・カリフォルニア州アナハイムのホンダ・センターで開催される、”Paul vs. Chavez”興行で行われる。

昨年11月、今年3月と続けて、WBC世界ライト級暫定王者ウィリアム・セペダ(メキシコ)=33戦全勝(27KO)=と対戦した34歳のファーマーは、圧倒的不利の予想の中で行われた、サウジアラビア・リヤドの初戦では、4回にダウンを奪い、以後も巧みなテクニックでセペダの突進を交わし切り、あるいはと思わせたが、95-94、95-94、94-95のスプリット判定負け。

Tevin Farmer vs William Zepeda

メキシコ・カンクンで行われた再戦では、序盤のセペダのボディ攻撃に苦しみながらも、中盤以降は持ち前のテクニックで強引に押し込んで来るセペダのアタックを交わし、速いコンビネーションで前半の失点を徐々に挽回して行ったが、112-116、113-115、114-114のスコアでまたもや惜敗。

試合後、セペダをプロモートするGBPのオスカー・デラホーヤは、ファーマーとスコフィールドを対戦させるプランがある事を明かしていたが、今月になりファーマー自身がデラホーヤからのオファーを受けた事を明かしていた。

22歳のスコフィールドは、2月22日(日本時間23日)にサウジアラビア・リヤドで、WBC世界ライト級王者シャクール・スティーブンソン(米)=23戦全勝(11KO)=の持つ王座への挑戦が決まっていたが、試合4日前に体調不良により試合をキャンセル。

サウジアラビアのボクシング興行を管理するBBBofC(英国ボクシング管理委員会)は、前日計量の2日前に体重チェックを義務付けており、スティーブンソンと契約するマッチルーム・ボクシングのエディ・ハーンは、スコフィールドはウェイト調整に問題を抱えていたと推測していた。

スコフィールドは、昨年11月2日(日本時間3日)に米・ラスベガスのヴァージン・ホテルズ・ラスベガス、ザ・シアターで開催されたゴールデン・ボーイ・プロモーション興行のメインイベントで、レネ・テレス・ジロン(メキシコ)=21勝(13KO)5敗=に12回判定勝ちして以来のリング登場。

ジロン戦では試合前に圧倒的勝利を宣言し、序盤戦こそスピード・ボクシングで完勝に向かっていたが、ひるまず前進して来るジロンを完全に捌き切る事は出来ず、11回には左フックを喰いまさかのダウン。

Floyd Schofield vs Rene Tellez Giron

オフィシャルのスコアは118-109、118-109、116-111となったが、敗者ジロンはまるで勝者のように誇らしげにリングを降り、勝ったスコフィールドは今後への課題が大きく浮き彫りにされた形となった試合だった。

ファーマー戦が決まった俊英スコフィールドは、「元世界チャンピオンのファーマーとリングを共にすることは、僕と僕のスキルを疑う人たちを黙らせる大きなチャンスだ。そして、僕は必ず勝利すると信じている」とのコメントを発し、やる気を見せている。

サウスポー、ファーマーとのテクニシャン対決では、どんなボクシングを見せるのか。いずれにしても、勝者が世界タイトル挑戦に大きく近づくことになる。

同日のメインカードは、興行名の”Paul vs. Chavez”にあるように、人気YouTuberボクサー、ジェイク・ポール(米)=11勝(7KO)1敗=と、元WBC世界ミドル級王者のフリオ・セサール・チャベスJr(メキシコ)=54勝(34KO)6敗1分1NC=のクルーザー級10回戦で、プロモーターはゴールデン・ボーイ・プロモーションと、ポールのモスト・バリュアブル・プロモーション(MVP)。

Paul vs. Chavez

アンダーカードでは、WBO世界クルーザー級&WBAスーパー王者ヒルベルト・ラミレス(メキシコ)=47勝(30KO)1敗=に、元WBA、IBF王者でWBA同級1位、WBO11位にランクされるユニエル・ドルティコス(キューバ)=27勝(25KO)2敗=が挑む、WBA指名戦も行われる。

他に、WBC世界ウェルター級6位、IBF8位、WBA12位、WBO15位ラウル・クリエル(メキシコ)=15勝(13KO)無敗1分=と、ビクトル・エセキエル・ロドリゲス(ウルグアイ)=16勝(9KO)無敗1分=の、ウェルター級10回戦。

17戦全勝(16KO)のレコードを持つ、アビウス・グリフィン(米)と、ジュリアン・ロドリゲス(米)=23勝(14KO)1敗=のウェルター級10回戦もセットされた。

アンダーカードには好カードが揃ったが、メインのポールvsチャベスJrは、真摯なボクシングファン、関係者からはすこぶる不評で、トップランクのボブ・アラムは、「あれはボクシングではない」とグサリ。

Jake Paul vs Gervonta Davis

アラムには全く同調だが、ポールはチャベスJrの後に、WBA世界ライト級王者ジェルボンテ・デービス(米)=30勝(28KO)無敗1分=と、195ポンド契約、3分10ラウンドのエキシビション・マッチを行う事を既に明らかにしており、違った角度からボクシングを観る者からは、大きな注目を集めている。

数々の拙戦を演じて来たチャベスJrも39歳。最後の花道(というかマネー稼ぎ)となるだろうが、昨年7月20日(日本時間21日)に米・フロリダ州タンパで行われた、プロボクシングでは4回戦の経験が一度だけという、39歳の元総合格闘家ユライア・ホール(ジャマイカ)とのクルーザー級6回戦では、キャリアの違いを見せつけるには程遠い出来で、見せ場のない凡戦の末に勝利を得たが、これは約2年8ヶ月ぶりのリングだった。

昨年11月15日(日本時間16日)に米・テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアムでポールと戦った、58歳の元3団体統一世界ヘビー級王者マイク・タイソン(米)=50勝(44KO)7敗2NC=は、それなりの動きを見せてくれたが、”チャベスJrにそれを期待するのは無理”という予想が、当たるかどうかにポール戦の興味は絞られよう。