DAZNは7月30日に横浜BUNTAIで開催される、帝拳プロモーション主催のトリプル世界戦興行。「U-NEXT BOXING.3」の米国と英国での放映権を獲得した事を発表。米国東部時間午前5時45分から、生配信される事が決まった。

メインイベントに出場するWBA、WBC世界フライ級王者寺地拳四朗(BMB)=25勝(16KO)1敗=選手は、パウンド・フォー・パウンド・ランキングの一角にも名前が登場しており、このクラスで最も優れたアクションを見せるファイターとして評価は高く、米国ファン、関係者は配信決定を歓迎。平日の早起き宣言をしている。

Teraji vs Sandoval

挑戦者のWBC2位、WBA3位にランクされるリカルド・サンドバル(米)=26勝(18KO)2敗=は、2022年7月16日(日本時間17日)に米・カリフォルニア州ロサンゼルスで行われた、WBA世界同級挑戦者決定戦で、現WBA世界スーパーフライ級暫定王者デビッド・ヒメネス(コスタリカ)=18勝(12KO)1敗=と対戦。

試合は激戦となったが、第11ラウンドにヒメネスの右ショートでサンドバルは痛恨のダウン。112-114、112-114、113-113(ヒメネスは7回ホールディングで減点1)の僅差判定で惜敗。しかし、以後6連勝(3KO)で再びトップ戦線に再浮上。

ようやく巡って来た世界初挑戦にやる気満々で、標高2000メートル以上ある米・カリフォルニア州ビッグベアで初めて高地トレーニングを消化。「落ち着いて静かな環境で、1カ月半強の間、ただ起きて練習して寝る繰り返し。練習に集中して体を作ることが出来た」と、王座奪取へ向け気合が入っている。

セミファイナルに登場する、元WBC世界フライ級王者でWBA世界バンタム級2位の比嘉大吾(志成)=21勝(19KO)3敗2分=選手は、 堤 聖也(角海老宝石)=12勝(8KO)無敗3分=選手の休養王者認定に伴いレギュラー王者に昇格した、アントニオ・バルガス(米)=19勝(11KO)1敗1NC=の持つ、WBA世界バンタム級王座に挑戦。

Daigo Higa

比嘉選手は3戦連続の世界戦。2月24日に東京・有明アリーナで行われた堤選手との一戦では快調に飛ばし、第9ラウンド、先にダウンを奪い行けると思った矢先にダウンのお返しを喰らい、ここから堤選手の猛追を許し、大激戦の末に12回引き分け。

昨年9月3日のWBO王者武居由樹(大橋)=11戦全勝(9KO)=選手への挑戦試合で、11回にダウンをスコアしながら小差の判定を失ったのに続き、世界王座奪取はならなかったが、今度はチャンス。「打ち合いのなかに隙があるんです。ガードが下がる。当然改善してくると思うが、そこの展開の中で狙えるときは狙いたい」と言う野木丈司トレーナーの言葉通リ、打たれて強くないバルガスに、比嘉選手のベストパンチが決まる可能性は大いにあり得る。

そして、帝拳ジム期待のホープ。WBA世界ライトフライ級1位にランクされる高見亨介(帝拳)=9戦全勝(7KO)=選手が、2階級制覇のWBA世界同級王者エリック・ロサ(ドミニカ)=8戦全勝(2KO)=へ挑戦するタイトル戦も注目を集めている。

帝拳ジムの本田明彦会長が、「ライトフライ級は(世界王座を)取るに決まっている」と絶賛する23歳のホープは、4月8日に行われた日本タイトル挑戦試合で、王者でWBC世界同級3位、WBO8位、IBF12位にランクされていた川満俊輝(三迫)=11勝(7KO)2敗=選手に6回2分26秒TKO勝ちを収めると、本田会長に世界挑戦を直訴。

Kyosuke-Takami

強気の本田会長は、現在のこのクラスで一番強いと思われるチャンピオンをターゲットに選定し、日本でチャンスを作った。そして高見選手も、「最後は倒して終われる展開をイメージしている。6回くらいまでには仕留めたい」とKOでの王座奪取を宣言。

高見選手とコンビを組む田中繊大トレーナーは、「どれだけ打ち込む事が出来るか。高見は頭が良いので、攻め所もわかっている。浮き足立たないように戦って、練習した通りのことを出せばいい」と、王座奪取に自信を示している。

挑戦者陣営が師弟揃って強気なら、王者のロサ、そして2年前からコンビを組むイスマエル・サラス・トレーナーも、「100%の状態で、肉体的にも精神的にも調子がいい」と自信満々。「おしゃべりはやめて、リングで見せろ」と、無敗の2階級制覇王者らしい余裕を見せ、挑戦者を挑発。

「高見はガードが下がりやすいので、そこを突いていく。高見がKOを狙ってくるなら、そこには対応する自信がある」(サラス・トレーナー)

”ミニ・パックマン”の愛称を持つロサだが、マニー・パッキャオのような踏み込み鋭いワン・ツーはない。パワーではなく、スピードとテクニックで勝負するタイプで、打たれた場合は強くない。2021年12月にドミニカでのビック・サルダール(フィリピン)=26勝(16KO)6敗=戦では、ダウン応酬の末にスプリットの判定勝ち。ロサのダウンはダメージがあるものだった。

昨年12月のネイダー・バルデス(メキシコ)=14勝(11KO)3敗2分=との王座決定戦。その前のユデル・レイエス(メキシコ)=16勝(6KO)4敗=戦は共に判定で勝利しているが、ポイント差ほどの強さは感じられなかった。ロサ戦の後遺症とは思えないが、ロサに敗れた二人は再起戦で揃ってKO負けとなっている。

高見選手の試合は何戦か観戦しているが、相手が強ければ強いほど力を発揮できるタイプと感じる。そのボクシングスタイルは、1970年10月22日、WBA世界フライ級王者ベルクレック・チャルバンチャイ(タイ)を13回ノックアウトで破り、帝拳ジムに宿願の世界王座をもたらした、”永遠のチャンピオン”、大場政夫選手を彷彿させるものがある。世界をアッと言わせる勝利を期待したい。

試合の模様は7月30日(水)17:15から全試合終了まで、U-NEXTにより独占ライブ配信される。