8月16日(日本時間17日)、サウジアラビア・リヤドのANBアリーナで開催された、リヤド・シーズンのセミファイナルで行われたWBA世界フェザー級タイトルマッチで、同級5位サム・グッドマン(オーストラリア)=20勝(8KO)1敗=の挑戦を12回判定で退け3度目の防衛に成功した、王者ニック・ボール(英)=23勝(13KO)無敗1分=は、4団体統一世界スーパーバンタム級王者井上尚弥(大橋)=30戦全勝(27KO)=選手との対戦を希望。
試合後、「今日はいいパフォーマンスではなかったことは認める。しかし、私は今でもチャンピオンだ」と語ったボールは、「実現しないことが大きな話題になっているんだから、誰もがそれを望んでいる。だから、実現させよう」と、井上選手の挑戦を歓迎。
身長157センチの短躰から思い切った突っ込みで、速く強い左右フック、アッパーを軸にグッドマンに迫ったボールは、攻勢点とパワーパンチを評価され勝利したが、グッドマンの足とジャブ、右ストレートに苦戦。左ボディで動きが止まる場面もあった。

公式スコアはミシェル・マクシウタ(ベルギー)118-110、ホセ・ロベルト・トーレス(プエルトリコ)117-111、エンリコ・リチーニ(イタリア)115-113でいずれもボールだったが、試合を観た関係者、ファンからは、あるいは引き分け、小差でグッドマンの勝利と言う声もあがっている。
井上選手への挑戦を、2度に渡る直前の負傷でキャンセルしたグッドマンは、階級を上げての世界初挑戦だったが、ボールをよく研究し、怖がることなく自分のボクシングを展開。終盤はボールの肉薄を下がらずにブロックでストップし、インサイドからのストレートパンチを中心によく戦い、試合後も誇らしげだった。
リヤド・シーズンを主導し、リング・マガジンを個人的に所有するするサウジアラビアのトゥルキ・アラルシク大臣は、「サム・グッドマンはニック・ボールとの試合で素晴らしいパフォーマンスを見せたと思います。彼は多くのスキルを発揮し、ラウンドは接戦でした。今後のリヤド・シーズンやリング・マガジンカードで、彼の試合をもっと見たいですね」との談話を発表。

前日計量でリミットを1ポンド下回る125ポンドだったグッドマンが、今後もフェザー級で戦って行くのか、元のスーパーバンタム級に戻すのかは不明だが、今後も世界戦線でビッグチャンスが与えられる事になりそうで、関係者、ファンからも歓迎されている。
一方、井上選手との試合を希望したボールに対しては、「井上選手に勝てる見込みがあると思わせるようなパフォーマンスではなかったし、日本のスーパースターであるモンスターの前に立つ資格はない」と厳しい意見が飛んでいる。
また、ボールのファイトぶりを見たWBC世界フェザー級暫定王者ブルース・キャリントン(米)=16戦全勝(9KO)=は、ボールを「食べ物」と評価。1年に上に渡りWBA1位にランクされながら、ボールとの対戦が実現しなかった事に対し、「今夜の彼のパフォーマンスを見れば、その理由がわかるだろう」と、突き放した。