10月9日(日本時間10日)、ハンガリー・ブダペストのハンガリー・ボクシング協会で開催された、WBO世界クルーザー級暫定王座決定戦。同級1位クリス・ビラム-スミス(英)=21勝(13KO)2敗=と、同級2位ローマン・フレス(ドイツ)=23勝(13KO)1敗=の入札は、入札者ゼロで終了。最低落札価格は30万ドル(約4590万円)だった。

WBOは世界クルーザー級王者ヒルベルト・ラミレス(メキシコ)=48勝(30KO)1敗=の肩の負傷、手術による戦線離脱を受け、暫定王座の設置を決定。8月19日(日本時間20日)に両陣営に対戦交渉の開始が通達された。交渉期限は9月8日(日本時間9日)までとされていたが交渉は進展せず、ビラム-スミスのプロモーター、ベン・シャロームと、フレスのプロモーター、ウルフ・スタインフォースに入札の開催が通知されていた。

元WBO世界同級王者のビラム-スミスは、2度の防衛に成功した後、昨年11月にサウジアラビアでラミレスに敗れ王座陥落。再び巡って来たチャンスに「待ち切れない」と意欲満々で、2023年5月にローレンス・オコリ―(英)=22勝(16KO)1敗=を破り世界王座を獲得した、地元ボーンマスでの開催を希望。

Chris Billam-Smith

「私のチームは今、いつ試合ができるか一生懸命考えていて、11月末から12月にかけて試合ができればと思っている。どこかはまだわからないけど、世界レベルのリングに戻れることにとても興奮している。世界チャンピオンに返り咲き、再び統一を目指すんだ」(ビラム-スミス)

31歳のフレスはSESスポーツ・イベントによって管理され、これまでドイツ国外で戦った事はない。BOXXERのベン・シャロームは、今月に入りサウジアラビアが主導する”リヤド・シーズン”とスポンサーシップ契約を締結したばかりで、今後、エディ・ハーンのマッチルーム・ボクシング、フランク・ウォ―レンのクインズベリー・プロモーションと共に、英国ボクシング界を盛り上げていく事が期待されているが、その一方で英国ボクシング界の将来を危惧する声もあり、今回の件はその一例ととらえる見方もある。

WBOは入札ゼロの結果を受け、今後について協議する事になったが、最低落札価格の引き下げは避けられないだろう。