WBAは世界ヘビー級レギュラー王者クラフト・プーレフ(ブルガリア)=32勝(14KO)3敗=と、同級1位モーゼス・イタウマ(英)=13戦全勝(11KO)=の対戦を指令。交渉期限は30日間となっているが、その前にプーレフは、元WBA、IBF世界クルーザー級王者で同級12位のムラト・ガシエフ(アルメニア)=31勝(24KO)2敗1NC=と、12月12日(日本時間13日)にUAE・ドバイのデューティーフリー・テニス・スタジアムでの対戦契約を締結。プーレフvsガシエフは近日中に正式発表される予定と伝えられている。

プーレフは同級2位マイケル・ハンター(米)=24勝(17KO)1敗2分=との指名戦を指令され、興行権は入札によりハンターと2024年2月から3年契約を締結するドン・キング・プロダクションが、110万ドル(約1億6千30万円)で落札に成功。ファイトマネーの分配はプーレフが75%の82万5000ドル(約1億2千50万円)、ハンターは25パーセントの27万5000ドル(約4千20万円)で、試合は8月23日(日本時間24日)に米国での開催が予定された。

しかし、プーレフとエピック・スポーツ&エンターテインメントは、WBAの規則と規程の解釈変更の申し立てを提起。この問題は訴訟にまで発展し時間が経過。WBAはこれを却下するが、プーレフは準備が整わないとして、キングが予定していた8月開催は困難な状況となる。

Kubrat Pulev vs. Michael Hunter

その後、キングは10月4日(日本時間5日)に米フロリダ州マイアミで、プーレフvsハンターを開催する事を決めるが、ハンターは9月11日(日本時間12日)に米・ラスベガスで開催されたカネロvsクロフォードのファイトウィーク・カードで、WBA世界同級6位ジャレル・ミラー(米)=26勝(22KO)1敗2分=と対戦する事が発表される。

これに怒ったキングは、試合をプロモートするサウジアラビアの企業SELAと、TKOボクシング(UFCのホワイトCEO、WWEのニック・カーン会長、サウジアラビアのボクシング・フィナンシャーのトゥルキ・アラルシク大臣が今年初めに設立したベンチャー企業)が運営する、TKOグループ・ホールディングス社に対し、営業停止命令を申し立てた。

その結果、あえなくTKOグループは白旗をあげ、ハンターvsミラーはすぐに中止が発表された。そして、WBAはハンターのプーレフ戦への欠場を決定。1位にランクアップしていたイタウマとプーレフの対戦を指令した。

イタウマは12月13日(日本時間14日)に英・マンチェスターで開催される、クイーンズベリー・プロモーションへの出場が発表されているが、いまだ対戦相手が決まっていない。WBAのプーレフvsイタウマ指令の前に、契約されていたプーレフvsガシエフ。WBAは契約を優先するのか、それとも指名戦を優先させるのか。どちらでもよいが、その理由だけが注目される。