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1970年代、ノーガードから放たれる一発強打を武器に独特のボクシングスタイルで一世を風靡した悪魔王子。元WBO世界フェザー級王者”プリンス”、ナジーム・ハメド(英)=36勝(31KO)1敗=の半生を描いた自伝映画『Giant』が、1月9日(日本時間10日)公開された。

イエメン出身の父を持つサウスポー、ハメドのボクシングはともかく型破りで超変則。両手をだらりと下げたノーガードから、全く持って予測不可能な角度から強烈なパンチを打ち込みKOの山を築いたが、自らが倒れる事も屡々で、そのスリルがまたファンからの支持を得た。

1997年12月に米・ニューヨークで行われた米国デビュー戦。元WBC世界フェザー級王者ケビン・ケリー(米)との防衛戦では、初回にダウンを奪われ2回にも再び倒れるが、すぐさまダウンを奪い返す。そして4回、倒した後、フラッシュ・ダウンを喰らったハメドは、強烈な左を打ち込みテンカウントKO勝ち。マジソン・スクエア・ガーデンを興奮の渦に巻き込んだ。

Naseem Hamed vs. Kevin Kelley
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前WBA世界ライトフライ級王者高見亨介(帝拳)選手のトレーナーとして、ここ2戦連続で来日しているオギー・サンチェス(米)とは、2000年8月に対戦。26勝中23KOというサンチェスの強打で、KO負け寸前の崖っぷちに追い込まれたが、4回逆転のTKO勝ち。

そして、2001年4月に米・ラスベガスのMGMグランドガーデン・アリーナで、世界3階級を制覇する事になるマルコ・アントニオ・バレラ(メキシコ)と対戦。バレラの隙の無い戦いぶりの前に2回以降初めてガードを上げて戦ったが、12回判定で敗れ初黒星を喫した。

また、リング入場もド派手でブレークダンスを踊りながら姿を見せると、トップロープを宙返りしてリングインするのが常。魔法の絨毯、かご、エレベーターに乗っての入場もあり、バレラ戦では空中ブランコに乗ってリングに飛来するパフォーマンスを見せた。

Naseem Hamed Ring in
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軽量級としてはファイトマネーも破格で、バレラ戦では最低保証の600万ドル(約9億円)を大きく上回る報酬を獲得。バレラの保証額は200万ドル(約3億円)だった。ちなみに、昨年12月のサウジアラビア興行で井上尚弥(大橋)選手が得た報酬は32億円と伝えられている。

2015年には国際ボクシングの殿堂入り。この年、日本からは元WBA世界ライトフライ級王者の具志堅用高(協栄)氏と、元WBA世界フライ級王者・故・大場政夫(帝拳)氏が選出された。

マニー・パッキャオ(フィリピン)もあこがれたというハメド。日本のリングでもハメドの戦いぶりをマネる選手が、4回戦ボーイからメインイベンターまで数多く出現したが、あのような芸当は出来るのものではなく、今では絶滅化?。

Naseem Hamed
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ハメド2世、25歳になる子息アーダムは父と同じサウスポーで2023年8月にプロデビューし、これまで6戦全勝(3KO)を記録。時折、父親譲りとも思える動きを見せる事もあるが、ガードは高めでやはりナジームのマネは出来ない。

父の偉大さの影響からか過保護なマッチメイクで育てられているアメードの次戦は、1月24日(日本時間25日)に英・マンチェスターで開催されるクイーンズベリー・プロモーション興行の4回戦。ヘビー級新星イタウマvsフランクリンJrをメインとするDAZN放映カードで、アーダムが対戦するのは1勝39敗のケイシー・ブラッドナム(英)。

ハメドには3人の息子がいるが、昨年、再びリングに上がる事に言及。国のために戦うこと、誰かのために成功させること、誰かのために資金を集めることを目的とし、報酬が慈善団体に寄付される場合に限るとした後、「僕と3人の息子が全員、中東で行われる同じカードで戦う。それが僕の夢の一つなんだ」と付け加えた。来月には52歳の誕生日を迎えるハメドの夢は尽きない。

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