IBF世界ライトフライ級3位、WBO5位、WBA8位、WBC13位でWBOアジア・パシフィック同級王者のジェイソン・バイソン(フィリピン)=13勝(7KO)1敗1分=は、9月26日にタイ・バンコクのスペースプラス・バンコクRCAで行われたABFフライ級戦で、シャンボラン・マルバニャン(インド)=5勝(3KO)3敗2分=に9回2分40秒KO勝ち。決め手は得意の右ストレートだった。初のタイ遠征で勝利した26歳のバイソンは、今後、日本人マネジャーのサポートを受け、世界王座獲得を目指す。

フィリピンのハイランド・ボクシングジムのブリコ・サンティング氏とバイソンを共同マネージメントするのは、国際マッチメイカーのウリセス佐藤氏。IBF、WBOへJBCが加盟する以前から、両団体と強いパイプを持つ佐藤氏は、帝里木下(千里馬神戸)選手のゾラニ・テテ(南アフリカ)、ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)の世界戦、山田真子(博多協栄)選手のWBO女子世界戦等を担当。

近年は試合のマッチメイクの他、スパーリング・パートナーの招聘を通じ、フィリピン・ボクシングの発展にも寄与。信用を得ていく中で、佐藤氏の眼に留まったのがバイソン。

2023年2月4日に初来日したバイソンは東京・後楽園ホールで、現WBA世界フライ級王者ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)=20勝(11KO)2敗1分=選手と対戦したが、10回判定負け。しかし、同年12月17日に神戸・ポートピア・ホテルで、元WBO世界ミニマム級王者山中竜也(真正)=20勝(7KO)4敗=選手を、第2ラウンドに右アッパー一発でキャンバスへ落とし、1分14秒TKO勝ち。

阿久井選手には敗れたが、重岡選手兄弟のスパーリングパートナーを務め着実に力を付けていたバイソンは、WBO世界3位の山中選手に番狂わせのTKO勝利を演じ、WBOアジア・パシフィック王座を強奪し、世界ランク入りも決めた。

今年4月21日に大阪・住吉区民センターで行われた、WBOアジア・パシフィック王座の初防衛戦では、井上 彪 (六島)=4勝(2KO)1敗=の挑戦を97-93、96-94、96-94(ジャッジ構成は日本人2人とタイ)の判定で退けている。タイでの勝利の後、佐藤氏は世界王座挑戦に照準を合わせる事を明言した。

ランキング3位と王座に一番近い位置にいるIBF世界同級は、10月12日に愛知県国際展示場で王者シベナティ・ノンティンガ(南ア)=13勝(10KO)1敗=に、元WBC世界同級王者で同級2位にランクされる矢吹正道(LUSH緑)=16勝(15KO)4敗=選手が挑む指名戦が行われる。しかし、1位には負傷(拳の負傷で手術)により長期離脱している、クリスチャン・アラネタ(フィリピン)=24勝(19KO)2敗=が控えている。

WBO世界同級は10月13日に東京・有明アリーナで、1位岩田翔吉(帝拳)=12勝(9KO)1敗=選手と、2位ジャイロ・ノリエガ(スペイン)=14戦全勝(3KO)=による王座決定戦が決定。新王者は同級3位レジ―・スガノブ(フィリピン)=15勝(5KO)1敗=の挑戦を受ける事になる。

空位となっているWBA王座は、世界ミニマム級レギュラー王座を返上し階級を上げた1位エリック・ロサ(ドミニカ)=7戦全勝(2KO)=と、2位アルビン・ジョン・パシオネス(フィリピン)=9戦全勝(5KO)=による王座決定戦が有力。同じく空位のWBC王座は、1位カルロス・カニサレス(ベネズエラ)=27勝(19KO)2敗1分=と、2位パンヤ・プラダブスリ(タイ)=43勝(27KO)2敗=による王座決定戦が、年内に行われる。

日本人ランカーも多いライトフライ級。今後もバイソンは日本人選手との対戦があるだろう。IBF挑戦者決定戦へ出場権し、勝つ事が世界王座挑戦への確実な道のりだが、果たしてどう動くのか。今後に注目。