4月30日(日本時間5月1日)にWBAが発表した世界ランキングで、いきなり世界バンタム級5位にランクインした、元世界5階級制覇王者(暫定含)ノニト・ドネア(フィリピン)=42勝(28KO)8敗=の復帰戦は、6月14日(日本時間15日)にアルゼンチン・ブエノスアイレスのカジノ・ブエノスアイレスで開催される、WBA・“KO to Drugs”・フェスティバルで行われる事が決定。
ドネアの復帰戦がアルゼンチンで行われる事は地元メディから既に発表されていたが、対戦相手選びが難航。ここに来てようやく本決まりとなった。
ドネアの対戦相手は、同じ時期にWBA世界バンタム級15位に新ランクされたルチアーノ・フランシスコ・バルドー(アルゼンチン)=21勝(1KO)4敗=が有力と見られていたが、ケガにより撤退。他の地元及び中南米選手も検討されたが、見合う対戦相手が見つからず、ようやくアンドレス・カンポス(チリ)=17勝(6KO)2敗1分=に決まった。
アルゼンチンのプラネタ・ボクシング・ラジオは、バンタム級12回戦として行われるドネアvsカンポスは、WBA世界バンタム級ゴールド王座決定戦として行われるとしている。

WBA世界バンタム級はレギュラー王者 堤 聖也(角海老宝石)=12勝(8KO)無敗3分=選手が、目の手術を受け、同級暫定王者アントニオ・バルガス(米)=19勝(11KO)1敗1NC=とのWBA王座統一戦に出場出来ない事になり、WBAは5月17日(日本時間18日)付けで堤選手を休養王者として認定。バルガスはレギュラー王者に昇格した。
これにより、暫定王座は空席となっており、ドネアvsカンポスはどの階級でも定番化しつつある、暫定王者を決める決定戦となる可能性も否定はできない。
42歳のドネアは、2023年7月29日(日本時間30日)に米・ラスベガスのT・モバイル・アリーナで行われた、WBC世界バンタム級王座決定戦で、アレクサンドロ・サンティアゴ(メキシコ)=28勝(14KO)5敗5分=に、12回判定負けを喫して以来、戦っていない。
しかし、コンベンションに参加して世界王座奪還の意思がある事を伝えランキング入りを訴えていた。その訴えが見事に実り、いきなり5位に抜擢されたのは、ドネアの意欲に加え、その知名度を利用しようとするプロモーターの意向があるから。
そして、ドネアは4団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(大橋)選手が、3月31日に行われた日本プロボクシングの2024年度年間優秀選手表彰式で、WBC世界バンタム級王者の中谷潤人(M・T)選手に対し、「中谷君、1年後の東京ドームで日本ボクシングを盛り上げよう」と、宣戦布告した事を聞くと、中谷選手に対し、「井上と戦う前に俺とやれ!」とアピール。「中谷に勝って、また、井上と戦いたい」との野望を公言している。
世界バンタム級主要4団体の王者は日本人選手が占めているが、ドネアがすぐに日本人王者に挑戦する事は望めず、まずは復帰戦での勝利と、WBA世界と名の付く暫定orゴールドのベルト獲得が条件となろう。

対戦相手となる28歳のカンポスは、2023年6月10日(日本時間11日)に英・ロンドンのOVOアリーナ・ウェンブリーで、サニー・エドワーズ(英)=21勝(4KO)2敗=が保持していた、IBF世界フライ級戦王座に挑戦したが、12回判定(111-117×3)負けで初黒星。
昨年10月にはメキシコ・カンクンへ遠征。WBO世界スーパーフライ級6位、WBC世界フライ級6位、IBF9位のホセリート・ベラスケス(メキシコ)=21勝(13KO)1敗1分=に6回TKO負け。今年4月に地元リングで、ジムソン・ガルシア(ベネズエラ)=12勝(7KO)8敗1分=を3回TKOで破り再起を果たしている。
42歳、世界戦2連敗中、約1年11ヶ月ぶりのドネアがどこまで仕上げて来るか。そして、どれほどの力が残っているのか。サンティアゴに敗れた試合を観た一部のファン、関係者からは、引退を勧める声も上がっていただけに、まだ118ポンドのバンタム級リミットで戦ったことがないカンポスは、格好のテスト相手といえるが・・・。