WBO世界ウェルター級2位佐々木 尽 (八王子中屋)=19勝(17KO)1敗1分=選手の世界王座挑戦が、いよいよ秒読み。中屋廣隆トレーナーとのコンビで挑むWBO世界同級王者ブライアン・ノーマンJr(米)=27勝(21KO)無敗2NC=への挑戦は、「人生を懸けた挑戦。勝って歴史を変える」と、日本人選手まだ獲得した事がない、前人未到の世界ウェルター級王座奪取を誓う。
日本のリングで世界ウェルター級タイトルマッチが行われるのは、1989年12月10日に東京・後楽園ホールで、尾崎富士雄(帝拳)選手が指名挑戦者として、WBA王者マーク・ブリーランド(米)に挑戦し、4回TKO負けを喫して以来、実に約35年6ヶ月ぶり。
24歳の王者ノーマンJrはトレーナーのノーマンSr(現役ボクサーとして今年リングに上がっている)と共に6月5日に来日。「ゆとりを持って、勝ちにきた」と話し、「人生を懸けて王者になった。簡単にベルトを手放すつもりはない」と、落ち着いた表情で語り王者の風格を漂わせた。

13日に大橋ジムで行われた公開練習はスパーリングこそなかったが、約30分間エンジン全開のジムワークを披露。佐々木陣営の視察の目も気にせず、シャドーでは俊敏な足さばき、ミット打ちでは鋭い連打、迫力あるサンドバッグ打ちを見せ、「これまでにないベストコンディションだと感じている。真のチャンピオンとしての試合を見せたい。いい試合になるだろう」と語り、調子の良さを伺わせた。
ノーマンJrのジムワークは強いと感じさせるものだったが、佐々木選手は「確かに全てが本当に素晴らしいと思いましたが、勝てると思いました」と強気。中屋トレーナーも、「全てが強い。しかし、それは想定内。これなら勝負できる」と自信を覗かせた。
八王子市出身の佐々木選手は中学1年生で八王子中屋ジムへ入門。中屋廣隆トレーナーの指導を受け、ここまで階段を駆け上がって来た。地元八王子市では街をあげて佐々木選手を応援。地元ファンの期待は大きい。

「大竹さん、今度が最後だと思っているんですよ」
こう語るのは佐々木選手を指導する中屋廣隆氏。斉田ジム・トレーナー時代には、デビューから10連続KOでWBA世界スーパーフェザー級1位まで上り詰め、ヘナロ・エルナンデス(米)の持つ世界王座に挑戦した、”お江戸のタイソン”・渡辺雄二選手、元日本ウェルター級暫定王者の堀内 稔 選手らを指導。
1995年1月に独立し八王子中屋ボクシングジムを創設。協栄ジムで国内全てのマッチメイクを担当していた大竹重幸氏とは、長い付き合いがあり、1998年5月18日に後楽園ホールで行われた”ガッツ・ファイティング”のメインで、東洋太平洋フライ級王座を保持していたマニー・パッキャオ(フィリピン)の対戦相手を探していた大竹氏が、「寺尾君、どうですか?」と切り出すと、「中屋さんはすぐにOKくれたんだよ」と、後の伝説のボクサー、パッキャオと八王子中屋ジム第1号のプロ選手、寺尾 心 選手との対戦が決まった。
大竹氏が育てた元WBA世界スーパーバンタム級王者佐藤 修 (協栄)選手が世界戦を前に公開練習を行う時は、「大竹さん、観させてもらっていいですか。僕もいつかはやりたいと思っているんですよ」と勉強されていた。
中屋氏がジムオーナーとして、自らの手で育てた選手の世界挑戦の第一号は、淵上 誠 選手。アマ戦績5勝7敗。プロの出だし2勝3敗だった淵上選手は、アマ時代に136戦133勝のレコードを残す佐藤幸治(帝拳)選手から、東洋・太平洋ミドル級王座を奪取。

その勢いで2012年5月12日(日本時間13日)、勇躍、ウクライナ・ブロバリのアイス・パレス・ターミナルのリングでWBA世界ミドル級王座へ挑戦するが、時の王者はゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)。9連続KO中のゴロフキンは強く、渕上選手は3回TKOで敗れ去っている。
「中屋さん、本当に賭けてるよ」(大竹氏)
2015年、会長職を子息の一生氏に譲った中屋氏は、佐々木選手の挑戦に積年の全ての想いをこめ、この一戦に賭ける。6月19日、東京・大田区総合体育館。歴史を塗り替える時が待たれます。
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