1ヶ月間延期され、来年1月24日に東京・有明アリーナで開催が決まった、4団体統一世界スーパーバンタム級王者井上尚弥(大橋)=28戦全勝(25KO)=選手に、IBF&WBO世界同級1位サム・グッドマン(オーストラリア)=19戦全勝(8KO)=が挑むタイトル戦。

12月14日、オーストラリアからグッドマンが最終スーパーで左瞼を負傷。4針縫う裂傷を負い、医師からは4週間の安静を言い渡されたグッドマンだが、即日、1ヶ月間の延期で試合に出場する事を受諾した。

しかし、その5日後には同じプログラムで用意されていた、WBO世界バンタム級タイトルマッチの中止が決定。チャンピオン武居由樹(大橋)=10戦全勝(8KO)=選手の右肩負傷によるもので、同級10位ユッタポン・トンデイ(タイ)=15戦全勝(9KO)=との2度目の防衛戦は、延期という形をとり、来年4~5月頃の実現を目指す事となった。

大橋ジムの大橋秀行会長は、グッドマンの負傷により、急遽、興行が1ヶ月延期する事になった経緯を踏まえ、「何があるか分からない。こういうことがある以上、万全を期すために、その対応を考えたらリザーブ選手を用意するしかないと判断した。今後、全ての試合でリザーブ選手の試合を組んでいきたい」と、井上選手の次期防衛戦から、常にリザーブ選手を用意する考えを明かにしていた。

井上vsグッドマン興行では、スーパーバンタム級で世界ランカーのリザーブ選手を用意し、一試合組み入れる事を明言。ここに名乗りを挙げたのが、WBC世界同級1位にランクされるデビッド・ピカソ(メキシコ)=31勝(17KO)無敗1分=で、1月にでも井上選手と対戦出来る事を強くアピール。

ピカソは来年4月に米・ラスベガスで計画されていたトップランク興行のメインイベントで行われる、井上選手の試合の有力な対戦相手候補として挙げられていた事もあり、リザーバーの条件には当てはまる。

12月14日(日本時間15日)にメキシコ・ティファナで行われた最新試合では、急遽変更されたサウスポーの対戦相手イェイソン・クエロ(コロンビア)=13勝(11KO)3敗1分=を問題とせず、第3ラウンド、左ボディ一発でKO。ノーダメージで試合を終えている。

4針縫ったグッドマンは、傷口が再び開く可能性がありスパーリングが制限される。コンスタントに試合をこなして来ており、減量にはそれほど問題ないと思われ、契約した以上、勝利へ向け最大限の努力をしてくるに違いない。

しかし、フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)のインフルエンザ感染により、井岡一翔(志成)選手との世界戦中止が試合前日になり発表された事もあり、本当に大橋会長の言う通リ、「何があるか分からない」が現実的となっており、現在、夏のオーストラリアから真冬の東京へやって来るグッドマンにも、何があるかわからない。

世界中が注目する井上選手の興行だけに、大橋会長の苦労も並大抵ではないが、万全の態勢で、完遂される事を願うばかりです。