11月にサウジアラビア・リヤドでの開催が発表された、WBO世界ウェルター級王者ブライアン・ノーマンJr(米)=28勝(22KO)無敗2NC=と、元2階級制覇王者でWBC世界同級1位、WBA2位にランクされるデビン・ヘイニー(米)=32勝(15KO)無敗1NC=のタイトル戦。

試合決定が決まり、ノーマンJrとプロモート契約を締結するトップランクのボブ・アラムは、興行主となる、”リヤド・シーズン”を主導するサウジアラビアのトゥルキ・アラルシク大臣に対し、「閣下とともに、世界最高のウェルター級選手であるブライアン・ノーマン・ジュニアが、11月にリヤドでデヴィン・ヘイニーを相手にWBOタイトルを防衛することを楽しみにしています」と感謝の意を表明。

Bob Arum Turki Al-Sheikh

その一方で、ヘイニーを陸上選手だと揶揄し、作られたスターであるとこき下ろしている。これに対し、ヘイニー親子がすぐに反応。反撃に転じている。

「この男は、ESPNからの9,000万ドルを無駄にし、現在テレビ契約がないことを心配すべきではないのか?」(ヘイニー)

トップランクは2017年にESPNと契約。2018年には新たに7年契約が締結されたが、契約の更新はされず7月26日(日本時間27日)に米・ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデン・シアターで開催される、WBC世界フェザー級暫定王座決定戦。同級1位ブルース・キャリントン(米)=15戦全勝(9KO)=と、同級12位マテウス・ハイタ(ナミビア)=14戦全勝(9KO)=をメインとする興行が、ESPN放映のラストファイトとなる事が決まっている。

8月はトップランクの興行は行われず、今のところ、その先の方向性は示唆されていない。そんな中、決まったノーマンJrとヘイニーのタイトル戦。

ライト級、スーパーライト級王座を獲得し、3階級制覇を目指すヘイニーは、昨年4月20日(日本時間21日)に米・ニューヨーク州ブルックリンのバークレイズ・センターで行われた、元WBC世界ライト級暫定王者ライアン・ガルシア(米)=24勝(20KO)2敗1NC=戦で、3度のダウンを奪われ、一度は判定負けを告げられたが、ガルシアの薬物検査要請によりノーコンテストに変更され、無敗記録を維持。

Devin Haney vs. Ryan Garcia

ガルシアへの雪辱を誓ったヘイニーは、ガルシアとの再戦を目指し、ガルシアに課された1年間の出場停止処分に突き合う形で1年間休養。

5月2日(日本時間3日)に米・ニューヨークのタイムズスクエアで行われた復帰戦では、元WBO、WBC世界スーパーライト級王者ホセ・カルロス・ラミレス(米)=29勝(18KO)3敗=に12回大差の判定勝ちを収めたが、アクションに乏しく、全く見せ場のない凡戦に終わっている。

6月19日に東京・大田区総合体育館で、日本期待の佐々木 尽 (八王子中屋)=19勝(17KO)2敗1分=選手の挑戦を、5回46秒KOで破り2度目の防衛に成功したノーマンJrの試合は、ESPNによりアメリカへも配信され、試合開始早々から2度のダウンを奪い、第5ラウンドに左フックを鮮やかに決め、佐々木選手を失神KO。

Brian Norman Jr vs. Jin Sasaki

このKOシーンは、Knockout of the Yearの候補にも上がり、一気にノーマンJrの存在感を高め、初めてのウェルター級リミットでノーマンJrと戦うヘイニーには、「KOされる可能性がある」との指摘が多くあがっており、新しいスターの誕生が予想されている。

ヘイニーが再戦を求めていたガルシアは、5月2日(日本時間3日)に米・ニューヨークのタイムズスクエアで行われた、WBA世界ウェルター級レギュラー王座決定戦で、ロランド・ロメロ(米)=17勝(13KO)2敗=に判定負けを喫し、すぐの再戦は消滅。

その後、対戦同意が伝えられたWBO世界スーパーライト級王者テオフィモ・ロペス(米)=22勝(13KO)1敗=との一戦は、ロペスが出場を辞退。

ヘイニーはビッグマネーを得られる相手が限られたために、ノーマンJrとの対戦を選ぶ形となった。ヘイニー親子は不敵な自信を見せているが、果たして?。