スーパーウェルター級転向を表明し、IBF世界ウェルター級王座を正式に返上したジャロン・”ブーツ”・エニス(米)=34勝(30KO)無敗1NC=のプロモーター、マッチルーム・ボクシングのエディ・ハーンが、WBO、IBF世界スーパーウェルター級3位、WBC12位のジョシュ・ケリー(英)=17勝(9KO)1敗1分=にオファーを出した事が明かにされた。

現在、WBO世界同級4位にランクされるエニスとケリーの対戦に付いて、ハーンは「WBO王座への挑戦権を賭けた試合になるかもしれない。この組み合わせはとても気に入っている」とご満悦なのだが、ケリーのマネジャー、アダム・ブースは「馬鹿げているオファーだ」と憤慨。

試合は10月11日(日本時間12日)にエニスの地元、米・ペンシルベニア州フィラデルフィアでの開催となっているが、ケリーに提示された報酬は「ケリーが10回戦で受け取った金額の半額以下だ」と一蹴。

エニスは”リヤド・シーズン”を主導する、サウジアラビアのトゥルキ・アラルシク大臣により、11月にWBC世界スーパーウェルター級暫定王者バージル・オルティスJr(米)=23戦全勝(21KO)=と対戦する交渉が進められていたが、その前にテスト試合を希望。エニスが「その試合は間違いなく起こり得るし、みんなが見たい試合だ。実現しなければならない」と言うオルティスJrとの一戦は、交渉がまとまった場合でも来年前半の開催になる。

5月、エニスはWBO世界スーパーライト級王者テオフィモ・ロペス(米)=22勝(13KO)1敗=との対戦が伝えられ、交渉は最終局面に達していたが、結局これを辞退。エニスからの断りを受けたロペスは、「自分がプロボクサーであり続けるかどうかはわからない。残念だ。」と、リングからの引退をほのめかすほどの落胆ぶりだった。

Eddie Hearn & Jaron  Ennis

また、ウェルター級に階級を上げて来たデビン・ヘイニー(米)=32勝(15KO)無敗1NC=との対戦話もあったが、これにも乗り気ではなく、回避したとの見方がある。

階級を上げても自らの強さに自信満々のエニスは、オルティスJrに勝利した後、4団体王座統一に乗り出す考えを明らかにしているが、最近の動向に加え、過去にも4団体統一世界ウェルター級王者だったテレンス・クロフォード(米)=41戦全勝(31KO)=と、2度対戦のチャンスがありながら、それを逃している事実もあり、エニスがビッグネームと戦う事へのファンからの信頼感はいま一つ。

ハーンはオルティスJr戦前の前哨戦を正当化し、「次にエニスvsオルティスJrが実現する事は間違いないとしているが、最初、2月22日(日本時間23日)にサウジアラビア・リヤドで対戦が伝えられていたオルティスJr戦が流れたのは、スーパーウェルター級での対戦交渉が行われたにもかかわらず、最後の最後でオルティスJrに送付された契約書に記載されていた契約ウェイトが147ポンドだったことが原因だった。さて、信用は取り戻せるか。ハーンは早期に10月の対戦相手を決定したいとしている。