7月19日(日本時間20日)に米・ラスベガスのMGMグランドで開催される、プレミア・ボクシング・チャンピオンズ興行。46歳の元世界6階級制覇王者マニー・パッキャオ(フィリピン)=62勝(39KO)8敗2分=が、WBC世界ウェルター級王者マリオ・バリオス(米)=29勝(18KO)2敗1分=の持つ王座に挑むタイトル戦をメインとするアンダーカードが決定。

前WBC世界フェザー級王者でWBC世界同級3位、WBA5位にランクされるブランドン・フィゲロア(米)=25勝(19KO)2敗1分=は、WBO世界同級4位、WBC10位、IBF12位のジョエ・ゴンサレス(米)=27勝(15KO)4敗=と対戦。

Brandon Figueroa

フィゲロアは2月1日(日本時間2日)に米・ラスベガスのT-モバイル・アリーナで行われた、スティーブン・フルトン(米)=23勝(8KO)1敗=との再戦で、全く良いところなく12回判定負けで王座から陥落。

試合前、「私は今、間違いなく全盛期にある。強さを感じているし、リングでそれをすべて発揮するのが待ちきれない」と自信のコメントを発し、予想もフィゲロア有利に傾いていただけに信じられない敗戦だった。

再起を期すフィゲロアは、指導を受けていた父オマール・フィゲロア・シニアと相談し、ロサンゼルスのベテラン、腕利きのマニー・ロブレスを新トレーナーとして向かい入れ、新しい環境の下で再起戦に備えている。

対するゴンサレスはアマ時代にジェルボンテ・デービス(米)に2勝しているが、過去3度の世界戦は全て敗れている。2023年9月15日(日本時間16日)に米・テキサス州コーパスクリスティで、ルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)=30勝(17KO)3敗=の持つIBF世界フェザー級王座に挑み12回判定負け。

Joet Gonzalez

以来、リングから遠ざかり世界ランキングからも外れたが、3月8日(日本時間9日)に米・カリフォルニア州ロングビーチのサンダー・スタジオで、WBO世界フェザー級2位にランクされていたアーノルド・ケガイ(ウクライナ)=22勝(14KO)2敗1分=を10回判定で破り再浮上。

フィゲロアの新トレーナー、ロブレスは、「彼はもうベテランで、元世界チャンピオン。あまり変えようとはしていない」と話しているが、タフでしぶといゴンサレスをどう攻略するか。ゴンサレスにとってもフィゲロアを破れば4度目の世界戦が見えて来るだけに気合は入る。激しい試合になりそうです。

元WBA世界スーパーライト級王者で、現在WBO世界同級2位、WBC3位、IBF9位、WBA世界ライト級8位にランクされるイサック・”ピットブル”・クルス(メキシコ)=27勝(18KO)3敗1分=と、WBC世界スーパーライト級11位アンヘル・フィエロ(メキシコ)=23勝(18KO)3敗2分=の再戦も組み込まれた。

Isaac Cruz vs Angel Fierro

両者は2月1日(日本時間2日)にグローブを交え、クルスが大激戦の末にフィエロを10回判定(98-92、97-93、96-94)で破ったが、クルスの猛烈なアタックを受けながらも、フィエロはインサイドからカウンターを打ち込み応戦。開始ゴングから終了ゴングまで激しく打ち合った試合は、T-モバイル・アリーナを興奮の渦に巻き込み、ファイト・オブ・ザ・イヤーの候補に挙げられている。

世界王座奪還を目指すクルスは印象的勝利が欲しいところ。初戦で自信を付けたフィエロは、チャンピオンメーカーのロバート・ガルシアの下でトレーニングを積み、雪辱を期す構え。今度も猛烈なファイトになりそうです。

同日の共同メインはWBC世界スーパーウェルター級王者セバスチャン・フンドラ(米)=22勝(14KO)1敗1分=に、元WBO世界同級王者で同級3位ティム・チュー(オーストラリア)=25勝(18KO)2敗=が雪辱を期し挑戦するタイトル戦。

昨年3月30日(日本時間31日)の初戦では、第2ラウンド終了間際に偶然のバッティングにより額をカットしたチューが、大流血に悩まされながらの戦いとなり、12回まさかの判定負けで王座から転落。殊勲の星を上げたフンドラも鼻骨を骨折する激戦だった。

チューがフンドラに敗れたのはカットによる出血が原因と見られていたが、昨年10月19日(日本時間20日)に米・フロリダ州オーランドで、IBF世界スーパーウェルター級王者バカラン・ムルタザリエフ(ロシア/米・カリフォルニア州在住)=23戦全勝(17KO)=の持つ王座へ挑んだ再起戦では、予想有利とされながら、4度のダウンを奪われ3回1分55秒TKO負け。

Bakhram Murtazaliev vs  Tim Tszyu

目を覆いたくなるような惨敗で、チューの強いイメージは完全に消し去られ、世界王座返り咲きへの道は相当厳しいものだと感じられた。4月6日にオーストラリア・ニューカッスルで、ジョセフ・スペンサー(米)=19勝(11KO)2敗=を4回2分18秒TKOで破り、連敗からの脱出に成功したが、一度失った自信をまだ取り戻せていないかのように感じられた。

フンドラは3月22日(日本時間23日)に米・ラスベガスのミケロブ・ウルトラ・アリーナで、WBO世界同級5位、WBC13位ショーデール・ブッカー(米)=23勝(11KO)2敗=を全く問題とせず、4回2分51秒TKO勝ちで初防衛に成功。約1年ぶりのリングだったが、ブランクは感じさせなかった。

約1年4ヶ月ぶりに行われる再戦。チューの出来一つで試合の流れは変わろうが、ムルタザリエフ戦で受けたダメージが心身に残り、迷いがあるとフンドラの術中にはまり込む。勢いに勝るフンドラが、前戦以上の差で勝利するか。チューの奮起に期待。