IBF世界ウェルター級&WBAスーパー王者ジャロン・”ブーツ”・エニス(米)=34勝(30KO)無敗1NC=のプロモーター、マッチルームボクシングのエディ・ハーンは、WBO世界スーパーライト級王者テオフィモ・ロペス(米)=22勝(13KO)1敗=が、エニスの持つ王座に挑戦する交渉を進めている事を明らかにした。
サウジアラビア政府の直轄プロジェクト「リヤド・シーズン」を主導する、トゥルキ・アラルシク大臣が、サウジアラビアでの開催を申し出ている事を明かし、時期に付いては9月から10月にかけて行う意向を示唆。
エニスは4月12日(日本時間13日)に米・ニュージャージー州アトランティックシティのボードウォーク・ホールで、WBAレギュラー王者エイマンタス・スタニオニス(リトアニア)=15勝(9KO)1敗1NC=を圧倒。6回終了棄権に追い込みWBA王座を吸収。WBAはエニスをスーパー王者として認定。

しかし、エニスは王座獲得の日から120日内に、同級1位シャハラム・ギヤソフ(ウズベキスタン)=17戦全勝(10KO)=との対戦を、WBAから義務付けられている。
さらに、エニスvsギヤソフの勝者は、5月2日(日本時間3日)に米・ニューヨークのタイムズスクエアで行われた、WBA世界ウェルター級レギュラー王座決定戦で、ライアン・ガルシア(米)=24勝(20KO)2敗1NC=を12回判定で破り、新王者となったロランド・ロメロ(米)=17勝(13KO)2敗=と対戦しなければならない事を決定済。
ロペスのエニス挑戦を実現させる為には、ギヤソフの同意を得たうえで、WBAの例外承認を得る必要がある。マッチルーム・ボクシングと契約するギヤソフは、エニスvsスタニオニス実現の際も、それなりの待機料を受け取り身を引き、アンダーカードに出場。
2016年リオ五輪69kg級で銀メダル。翌年の世界選手権では同級金メダルを獲得しているギヤソフは、フランコ・マキシミリアーノ・オカンポ(アルゼンチン)=17勝(8KO)3敗=を問題とせず、初回に左フックからの連打でダウンを奪うと、第4ラウンド、右ストレートをボディに突き刺し、テンカウントKO勝ち。
ハーンはギヤソフ陣営との話し合いが必要なことは認めたが、ギヤソフが再び補償金を受け取り、待機する可能性は否定しておらず、ここも金銭+他の対戦プランで合意に達し、WBAは例外を承認すると思われる。
昨年12月、ビッグファイトを希望し、ファイトマネーへの不満からトップランクからの離脱を図る動きを見せたロペスに対しボブ・アラムは、エニスへの挑戦を実現させる為にハーンとの交渉が進展中である事を公表。3月1日(日本時間2日)にESPNとDAZNによる共同PPVで、米国内での開催が計画されていたが実現には至らなかった。

ロペスは5月2日(日本時間3日)に米・ニューヨークで、WBO暫定王者アーノルド・バルボサJr(米)=32勝(11KO)1敗=を12回判定で破り、WBO王座の統一に成功。これが約10か月ぶりのリングだったが、内容は迫力に欠け、見せ場もなく、ファンを楽しませるものではなかった。
トップランクから離脱したいが、簡単にはそれが実現できない契約となっているロペスは、エニス戦が実現すればキャリ最高のファイトマネーを得る事になるだろう。
アラムもそれをハッキリと認め、「テオフィモは金のためだが、彼を責めることはできない。次の試合は彼にとって最大のマネーファイトになる。だけど、ロペスはアンダードッグだと思う」と、辛らつだが現実的な意見を述べている。今後の動向に注目。