7月30日に横浜BUNTAIで開催された帝拳プロモーション主催のトリプル世界戦興行。「U-NEXT BOXING.3」のメインイベントで、WBA、WBC世界フライ級王者寺地拳四朗(BMB)=25勝(16KO)2敗=選手は、WBC世界同級2位、WBA3位にランクされるリカルド・サンドバル(米)=27勝(18KO)2敗=に、まさかの判定負けで王座から陥落。試合の模様はDAZNにより米国・英国へ生配信されたが、海外のファン・関係者からも落胆と驚きの声があがっている。

寺地選手有利と見られていた試合は、初回から寺地選手がジャブから、ワン・ツー・左フックを打ち込み積極的に試合を作りにかかった。対戦するサンドバルは、初回、手数は多くなかったが右ストレートを狙う気配。拳四朗選手は当てるが、被弾もある。初回は拳四朗選手のラウンドかと思ったが、ジャッジ2者はサンドバルに与えた。

拳四朗選手をよく研究して来たサンドバルは、打ち終わりにパンチを合わせ、2回には危険なタイミングの右ストレートがあった。しかし、拳四朗選手は第5ラウンド、見事なワン・ツーを決めダウンを奪った。6回も優勢とした拳四朗選手がこのままリードを広げて行くかと思われたが、標高2000メートル以上ある米・カリフォルニア州ビッグベアで、1カ月半強の間、ただ起きて練習して寝る繰り返しというトレーニングを行て来たサンドバルはしぶとい。

7回以降、拳四朗選手は被弾が増え、サンドバルの右ストレート、左フックで顔面が腫れあがって行った。減量の影響なのか、歴戦の疲れの蓄積なのか、初回から攻めるが切れとパワーは今一つであったと感じられ、しつこく喰い下がるサンドバルを突き放す事が出来なかった。

5月に実施した米・ロサンゼルス合宿で、WBC、IBF世界バンタム級統一王者中谷潤人(M・T)選手を指導するルディ・エルナンデス・トレーナーの教えを請い、特にディフェンス面を強化したはずだった。しかし、試合ではかつてないほど挑戦者のパンチを喰い、終盤はもどかしいラウンドが続いた。

Ricardo Sandoval vs. Kenshiro Teraji

公式スコアはジョセフ・グウィルト(英)117-110、レシェク・ヤンコヴィアク(ポーランド)115-112でサンドバルと、パヴェル・カルディニ(ポーランド)114-113拳四朗選手のスプリット。117-110はあり得ないとの声が多数聞かれる。しかし、「採点は厳しいかなと思った。攻めに行くか、足をつかうのか、どっちに行くか迷った。負けたかなと思った」と、拳四朗選手は正直な感想を述べている。

12月27日にサウジアラビア・リヤドで開催される、4団体統一世界スーパーバンタム級王者井上尚弥(大橋)=30戦全勝(27KO)=選手の試合をメインとする、”リヤド・シーズン”への参戦コールを受けていたが、この敗戦によりそれも消滅。33歳の前王者は今後に付いて、「何とも言えない。何も考えられない」と語るにとどめたが、今は何よりも体と心を休める事が必要だろう。残念。