WBA世界バンタム級王者アントニオ・バルガス(米)=19勝(11KO)1敗1NC=が、エディ・ハーンのマッチルーム・ボクシングとマルチ契約を締結。今後は、アマウリー・ピエドラ率いるボックスラボと、共同プロモートされる事になった。

「この機会を与えてくれた神に感謝します。ボックスラボ・プロモーションとマッチルーム・ボクシングのサポートで、次のステップに進めることをとても感謝している」

「まだまだやるべきことはたくさんあるけれど、私を信じてくれるチームに囲まれているのは幸せなことです。世界タイトルを防衛し、皆の誇りになり続ける準備はできている」(バルガス)

 堤 聖也(角海老宝石)=12勝(8KO)無敗3分=選手の休養王者認定に伴い、暫定王者からレギュラー王者に昇格したバルガスは、7月に日本で比嘉大吾(志成)=21勝(19KO)3敗2分=選手との初防衛戦が予定され、間もなく正式発表される。

テキサス州ヒューストン出身、28歳のバルガスは2016年リオ五輪に出場。フライ級2回戦で金メダルを獲得したシャホビディン・ゾイロフ(ウズベキスタン)に敗れた後、トップランクと契約しプロ転向。

順調に白星を重ねたが2019年5月、11戦目の8回戦で2連敗中のホセ・マリア・カルデナス(メキシコ)=17勝(14KO)6敗=に、初回1分53秒不覚のKO負け。右ストレートをカウンターで喰ったバルガスは前のめりに倒れ、そのまま動く事が出来なかった。

Antonio Vargas vs Jose Maria Cardenas

痛烈なKO負けの後、半年後に6回戦から再スタートするが、途中2年5ヶ月のブランクを挟み、5戦連続で6回戦という立場に置かれたバルガスだが、悪夢のKO負けから這い上がり、昨年2月24日(日本時間25日)にWBA世界バンタム級挑戦者決定戦への出場チャンスを掴む。

米・フロリダ州オーランドのカリビ・ロイヤル・オーランドで開催されたマッチルーム・ボクシング興行で、ジョナサン・ロドリゲス(米)=17勝(7KO)3敗1分=と対戦したバルガスは、初回にダウンを喫するが2回には倒し返し、徐々にバルガスを削っていき、7回終了棄権に追い込み挑戦権を獲得。

同年12月13日(日本時間14日)にはWBA総会開催中の同地で行われた、暫定王座決定戦に出場。10回戦の経験が一度だけという、同級9位ウィンストン・ゲレロ(ニカラグア)=22勝(13KO)1敗=を10回TKOで破り暫定王座を獲得。

初回にダウンを奪ったバルガスだが、2回にはゲレロのボディからの右フックでダウン。ダメージは大きかったが、終了ゴングに逃げ込むと、3回以降は立て直し、キャリアと地力の差を見せつけての勝利だった。

Antonio Vargas Winston Guerrero

WBA総会での暫定王座決定戦。堤選手の負傷によるレギュラー王者への昇格と、幸運が続いているバルガスは、スピードとテクニックを兼ね備えた好選手だが、最近の2試合でも倒されているように打たれ脆さは隠せない。

世界バンタム級は6月8日(日)に東京・有明アリーナで、WBC世界バンタム級王者”ビッグバン”・中谷潤人(M・T)=30戦全勝(23KO)=選手と、IBF世界同級王者西田凌佑(六島)選手=10戦全勝(2KO)=による王座統一戦が開催される。

そして、WBO世界バンタム級王者武居由樹(大橋)=11戦全勝(9KO)=選手と、同級1位の指名挑戦者クリスチャン・メディナ(メキシコ)=25勝(18KO)4敗=の対戦が、9月、日本開催で交渉が進んでいる。

バルガスの初防衛戦相手に比嘉選手が決れば、そのパンチ力に大きな期待がかかる。バルガスが与えられたWBAレギュラー王座を日本に取り戻すチャンスは十分ありと見るが。