3月13日に東京・両国国技館で行われた、WBO世界ライトフライ級タイトルマッチで、王者岩田翔吉(帝拳)=13勝(9KO)2敗=選手に挑み、12回判定勝ちを収め新王者となったレネ・サンティアゴ(プエルトリコ)=14勝(9KO)4敗=は、WBA世界同級王者エリック・ロサ(ドミニカ)=8戦全勝(2KO)=との王座統一戦を希望。

サンティアゴはロサに対し、プロモート契約するオールスター・ボクシングに連絡を入れるよう、メッセージを送信。年内に王座統一戦を実現させようと呼びかけている。

岩田選手を破り、プエルトリコ・ボクシング史上65人目の世界タイトルホルダーとなったサンティアゴは、帰国すると同時に母国ファンから熱烈な歓迎を受け、世界王者となった喜びを満喫しているが、ボクシングを始めた原点に帰ったことが、王座獲得の要因であることを忘れず、自らを戒めている。

5人兄弟のサンティアゴはシングルマザーの下で育てられたが、母親は危険なスポーツだとしてボクシングに大反対。9歳からボクシングに興味を持ったサンティアゴは、元ボクサーのルーベン・フィゲロアが、近所に作った粗末なトタン屋根のジムに、母親の目を盗んで通うようになる。

「彼(フィゲロア)は僕の母親に、僕がトレーニングに行く許可を求めてきたんだけど、僕の母親は彼を侮辱したんだ。 僕の母親はいつも、スポーツは勉強から遠ざかると言う人だった」

「これが私のやりたいスポーツだと教えてくれるものがあったんだ」と言うサンティアゴは、3度のアマ国内王者に輝き、2014年にプロデビューを果たすが、2016年には6回戦で初黒星を喫し、思っているようなキャリアアップはかなわなかった。

3度の敗戦を経て2023年10月、ケビン・ビバス(ニカラグア)を12回KOで破りWBO暫定王座を獲得するが、昨年3月2日(日本時間3日)にプエルトリコ・サンフアンで行われた、WBO王座統一戦でジョナサン・”ボンバ”・ゴンサレス(プエルトリコ)=28勝(14KO)4敗1分=に12回判定で破れ、暫定王座を失った。

しかし、再起戦に勝利したサンティアゴは、ゴンサレスがフライ級に転向した後、王者となった岩田選手に指名挑戦者として対戦するチャンスを得る。

サンティアゴは原点に戻り、子供の頃にボクシングを始めたジムで練習する事を決意。関係者、ファンまでが反対する中、それを押し切り、世界王者になるために古巣でのトレーニングを敢行。1:9のオッズをひっくり返し、岩田選手を破り、世界王座獲得に成功。

「ボクシングでの成長はすべて、私が今のような人間、男、そして父親になるための準備だった。 ルーベンには一生感謝している。彼は自分のキャリアの一部と老後を、近隣の子供たちや若者のトレーニングに捧げたんだ」

世界王者としての勝ち方だけを目指した岩田選手が敗れた要因には、こんなサンティアゴの勝負に対する執着心があったのかとも思います。岩田選手の捲土重来を期待。