7月19日(日本時間20日)、米・テキサス州フリスコのフォード・センター、アット・ザ・スターで開催された、マッチルーム・ボクシング興行のメインイベント。WBC、WBO世界スーパーフライ級王座統一戦。WBC王者ジェシー・”バム”・ロドリゲス(米・帝拳)=21戦全勝(14KO)=と、WBO世界同級王者ブメレレ・カフ(南アフリカ)=11勝(8KO)無敗3分=が対戦。

カフは昨年10月14日に東京・有明アリーナで、田中恒成(畑中)=20勝(11KO)2敗=選手から5回に右フックでダウンを奪い、12回スプリットの判定勝ちでWBO王座を奪取。3月にニカラグアで元世界4階級制覇王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)=52勝(42KO)4敗=との対戦が計画されたが実現せず、この試合が王座獲得第一戦。

ロドリゲスは昨年11月9日(日本時間10日)に米・ペンシルべニア州フィラデルフィアのウェルズ・ファーゴ・センターで、WBC世界同級暫定王者ペドロ・ゲバラ(メキシコ)=43勝(22KO)5敗1分=を、3回2分47秒TKOで破りWBC王座統一に成功して以来のリング登場。

上写真右から、ゲナロ・ロドリゲス(米)WBO立会人、プロモーターのエディ・ハーン(英)、ピーター・アブドゥール(ガイアナ)WBC立会人。

カフの隣は自分のジムを持つ、マネジャー兼トレーナーのコリン・ネイサン(南アフリカ)。

初回、ロドリゲスがプレスを賭けカフを追う。カフはロープを背にカウンターを狙うが、ロドリゲスは打っては素早く身を引いた。

2回、ジャブを上下に散らしプレスを掛けるロドリゲスは、左ストレートから右フック、左ボディアッパーとパンチを繋げる。カウンター狙いのカフは前には出ず、常にロープを背負った戦い。

3回、前に出て来ないカフに対し、ロドリゲスはガードを上げ接近し左ストレートから右アッパー。内外、上下自在に多彩なパンチを打ち込む。

4回、ロドリゲスはロープを背にするカフに接近。サイド動き、上体をうまく沈めて左アッパーをヒット。右フックもタイミングよくカフを捕らえた。カフのカウンターはワンテンポ遅れる。

5回、受け身の姿勢から放つカフも連打の回転を速め、右ストレート、アッパーを打ち込む。しかし、ロドリゲスは意に介さず、アグレッシブにカフを攻めた。


6回、ロープを背にロドリゲスを誘い、一発を狙うカフだが、ロドリゲスはそつなく動き攻撃の手を休めない。

7回、ロドリゲスはジャブを放ち、左ボディストレート、アッパー、そして右フック。出て来ないカフを徐々に削って行く。カフの右目下が腫れて来た。

8回、ロドリゲスがプレスを強め、追うテンポを速める。ストレート、アッパーでカフのガードを割り、すかさずボディ打ち。

9回、カフのパンチは届かず、ロドリゲスのコンパクトなコンビネーションがヒット。続けて放つ左ボディアッパーも有効。

10回、ロドリゲスはジャブを突き、打ちどころを探る。

内外、上下、コース、角度を変えたショート連打がカフを襲う。


ロドリゲスの右フックがまともにカフを捕らえると、カフの腰が砕け大きくよろめく。ヘクター・アフ(パナマ)主審はストップのそぶりを見せたが試合は続行。しかし、両者もつれあってリングに倒れ込む。

再び試合が再開されようとした時、カフ陣営は白いタオルを振り棄権の意思表示。

TKOタイム10回2分7秒。カフは一度もリング中央で戦う事なく敗れ去った。

ロドリゲスWBO王座の獲得に成功。出て来ないカフを終始攻め立て、崩していったボクシングは見事だった。



9回までのスコアはジャッジ三者ともにロドリゲスのフルマーク。

ロドリゲスは、想像以上にパンチがありタフだったと、敗者カフを称えた。

2団体統一王者となったロドリゲスは、ロバート・ガルシア・トレーナーと共に勝利ポーズ。

ロドリゲスはカフに勝利し、既に発表されていた、WBA世界同級王者フェルナンド・”プーマ”・マルティネス(アルゼンチン)=18戦全勝(9KO)=との3団体王座統一戦が決定。試合は、11月22日(日本時間23日)にサウジアラビア・リヤドのANB・アリーナで開催される”リヤド・シーズン”で行われる。
ノンストップファイター、マルティネスとの対戦は、現在考えられるこのクラス最高のカード。大変激しい試合になりそうですが、ロドリゲスがここも勝ち抜けると、王座統一戦を希望するIBF王者ウィリバルド・ガルシア(メキシコ)=23勝(13KO)5敗2分1NC=と、念願の4団体王座統一を賭けて戦う事が視野に入って来る。