元世界4階級制覇王者でWBA、WBC、WBO世界スーパーフライ級1位、IBF7位にランクされる、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)=52勝(42KO)4敗=は、20日(日本時間21日)にマナグアのアメリカン大学で行われた記者会見で、2025年がボクシング人生の最後の年になると述べ、あと2試合を戦い引退する事を明らかにした。
3月下旬から4月にかけて地元ニカラグアで、WBO世界スーパーフライ級王者プメレレ・カフ(南アフリカ)=11勝(8KO)無敗3分=の持つ王座への挑戦計画が進んでいたが、この計画は頓挫した事を認め、7月に日本かメキシコで試合を行ない、12月におそらくニカラグアで、ボクサーとしての最後の試合に臨み、ボクシングに別れを告げる事が確認された。

”チョコラティート”の愛称を持つゴンサレスは、10歳でボクシングと出会い、12歳の時にニカラグアの英雄アレクシス・アルゲリョの特別コーチを受けた。アマ時代87戦全勝のレコードを残し、2005年7月にプロデビュー。すぐに頭角を現したゴンサレスは、2007年5月に帝拳プロモーションとマネージメント契約を締結。
2007年11月3日、来日し東京・後楽園ホールのリングに登場したゴンサレスは、2度の世界挑戦経験を持つエリベルト・ゲジョン(フィリピン)を初回でKO。日本のファンをうならせた。
2008年9月15日、20戦全勝(18KO)の戦績を引っ提げ、パシフィコ横浜でWBA世界ミニマム級王者新井田 豊 (横浜光)選手の持つ王座に挑み、4回TKOで勝利し初の世界王座を獲得。ミニマム級王座返上後に獲得したWBA世界ライトフライ級暫定(後に正規からスーパー)王座も、東京・両国国技館で獲得。

2014年9月5日には東京・代々木第2体育館で、八重樫 東 (大橋)選手の持つWBC世界フライ級王座に挑戦し、9回TKO勝利を収め3階級制覇に成功。同年11月に行われたロッキー・フェンテス(フィリピン)との初防衛戦も日本で行う等、日本のリングで披露した卓越したテクニックとパワーパンチは、多くの日本人ファンを引き寄せ、今でも人気がある。
2016年9月にはカルロス・クアドラス(メキシコ)を破り、WBC世界スーパーフライ級王座を獲得し、ニカラグアボクシング史上初の4階級制覇王者となったゴンサレスだが、シーサケット・ソールンビサイ(タイ)にまさかの連敗。第2戦はショッキングなKO負けで、キャリアの継続が心配された。

しかし、1年後にリング復帰を果たすと、2020年2月に26戦無敗のカリッド・ヤファイ(英)を9回TKOで破りWBA王座を獲得。この王座はライバルのWBC王者ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)との王座統一戦に敗れ喪失。3度目の対戦となった、2022年12月のWBC王座決定戦でもエストラーダに0-2判定で敗れ、世界王座復活はならなかった。
約1年7ヶ月ぶりのリング登場となった、昨年7月12日(日本時間13日)にニカラグア・マナグアのアレクシス・アルゲリョ・スポーツセンターで行われた、元世界挑戦者ロベル・バレラ(コロンビア)との再起戦は10回TKO勝ち。
約9年半ぶりの地元リングで快勝したゴンサレスは、高額報酬が見込めるWBC世界スーパーフライ級王者ジェシー・ロドリゲス(米・帝拳)=21戦全勝(14KO)=との対戦をアピールしたが、その後、報酬よりも5階級制覇の偉業に挑戦する気持ちが強い事を表明。
しかし、ニカラグアでゴンサレスをプロモートする、オールスター・ボクシングのフェリックス・サバラJrは、「タイトルを持って、次の交渉に挑む方がずっといいと思う」とし、ゴンサレスもこれに同意する形でカフへの挑戦試合が実現へ近づいていた。

ゴンサレス戦が流れたカフには、ロドリゲスとの王座統一戦が浮上。6月から7月にかけて米・アリゾナ州フェニックスでの対戦を目指し交渉中で、カフ陣営が報酬で折り合うかどうかに試合の実現はかかっていると伝えられる。また、ロドリゲス陣営は来年までに4団体王座統一を実現させる構えを見せている。
今年6月17日には38歳の誕生日を迎えるゴンサレスは、世界タイトル復帰戦、もしくは好報酬が得られる相手との試合を求めているとされ、次戦が第2の故郷ともいえる日本で行われる可能性も十分考えられる。ラスト2試合。レジェンド、ゴンサレスは果たして誰と戦う事になるのか。今後の動向に注目。