WBA世界ウェルター級レギュラー王者ロランド・ロメロ(米))=17勝(13KO)2敗=は、元世界6階級制覇王者マニー・パッキャオ(フィリピン)=62勝(39KO)8敗3分=との防衛戦を特別承認するようWBAに要請しているが、指名挑戦権を持つ同級1位シャハラム・ギヤソフ(ウズベキスタン)=17戦全勝(10KO)=をプロモートする、マッチルーム・ボクシングは、「我々は待つつもりは全くない」と未だに譲る気配を見せていない。
ロメロは5月2日(日本時間3日)に米・ニューヨークで行われた王座決定戦で、ライアン・ガルシア(米)=24勝(20KO)2敗1NC=を12回判定で破り王座を獲得。WBAチャンピオンシップ委員会は、ルールによりロメロは120日以内に防衛戦を消化する義務があったが、それがなされなかった為に次の対戦相手は、挑戦権保持者のギヤソフでなければならないとし、義務防衛期間満了後60日以内にチャンピオンが非義務試合を行うことを禁じていると通告。
10月13日(日本時間14日)付けで、ロメロとギヤソフによる指名戦を指令。交渉期間は30日間となっていた。同時に指令されたフェザー級指名戦。王者ニック・ボール(英)=23勝(13KO)無敗1分=と、同級1位ブランドン・フィゲロア(米)=26勝(19KO)2敗1分=の一戦は、来年2月7日(日本時間8日)に、英・リバプールのM&Sバンク・アリーナで開催されるクイーンズベリー・プロモーション興行で行われる事が決定している。

パッキャオは来年プロリング復帰も噂されている、元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザーJr(米)との対戦も視野に入れていたが、来年の早い時期の対戦はなく、ロメロの持つ王座への挑戦を希望。ロメロ陣営もパッキャオとの対戦に異存はなく、WBAの介入がなければ両者の対戦はすんなり決まるところだったが、年越しを前にした今も宙に浮いたまま。
2016年リオデジャネイロ五輪ウェルター級銀メダリストのギヤソフ(ニューヨーク在住)は、昨年2月24日(日本時間25日)に米・フロリダ州オーランドで行われた挑戦者決定戦で、パブロ・セサール・カノ(メキシコ)=36勝(25KO)9敗1分1NC=を11回負傷判定で破り挑戦権を獲得。

当時王座を保持していたエイマンタス・スタニオニス(リトアニア)=16勝(9KO)1敗1NC=との対戦が指令され、11月には入札の開催が決ったが、スタニオニスはIBF王座を保持していたジャロン・”ブーツ”・エニス(米)=35勝(31KO)無敗1NC=との王座統一戦が決まり、ギヤソフは金銭的なステップ・サイド契約に同意し待つ事を受け入れた。
しかし、ギヤソフ陣営は今度は譲る気はなく、「ロメロが義務を免除されるような特別許可の付与に強く反対する」と、WBAに対し意思を表明。
「ロメロがパッキャオとの対戦が噂されているのは知っている。我々の焦点は、対戦相手が誰であろうと関係ない。ギヤソフは世界タイトルを賭けた試合を望んでいる。我々の役目はそれを実現させることだ。WBAに強く働きかけ、この機会を彼に与えられるよう尽力する」(マッチルーム・ボクシング、フランク・スミスCEO)。
膠着状態が続いているロメロvsギヤソフだが、スミスCEOの言う、「世界タイトルを賭けた試合」が暫定王座戦でもよければ、WBAには暫定王座決定戦という抜け道がある。ギヤソフvs任意の対戦相手での暫定王座決定戦承認で、ロメロvsパッキャオが実現する可能性は否定できない。今後のWBAの裁きに注目。
