6月28日(日本時間29日)に米・カリフォルニア州アナハイムのホンダ・センターで行われたクルーザー級10回戦で、元WBC世界ミドル級王者フリオ・セサール・チャベスJr(メキシコ)=54勝(34KO)7敗1分1NC=を大差の判定で破り、WBA世界同級14位にランクインした、人気YouTuberボクサー、ジェイク・ポール(米)=12勝(7KO)1敗=は世界挑戦を熱望。

ターゲットは41歳のWBC世クルーザー王者バドゥ・ジャック(スウェーデン)=29勝(17KO)3敗3分=で、ポールはジャックとの対戦を指令されている同級1位ノエル・ゲボール(アルメニア)=27勝(12KO)3敗=と契約するドン・キングに対し、”身を引くように”要求。

Badou Jack

これに対し、93歳のドン・キングは「消え失せろ!」と一蹴。殿堂入りプロモーターのキングは、「ポールは現在WBCランキングに入っていない。WBCはこの対戦を認可することすらできないだろう」語り、怒りを顕にしている。

ジャックは5月3日(日本時間4日)にサウジアラビア・リヤドのザ・べニューで開催された、”リヤド・シーズン”のセミファイナルで、休養王者だったゲボールと対戦。115-113、115-113、114-114の際どい判定勝ちを収めたが、判定を不服とするキングは、WBCに対し再戦を要求。

ゲボールは同級1位にとどまり、WBCは再戦を指令。入札が開催される事になったが、入札を前に両陣営は対戦に同意した事が伝えられている。

そして、キングから世界挑戦権譲り受けを拒否されたポールに対し、”リヤド・シーズン”を推進する、サウジアラビアのトゥルキ・アラルシク大臣は、元3団体統一世界ヘビー級王者アンソニー・ジョシュア(英)=28勝(25KO)4敗=との対戦をオファー。

Jake Paul Anthony Joshua

ポールと電話会談したアラルシク大臣は、ポールがジョシュアが断然優位となる99vs1の報酬分割の提案を受け入れた事を明らかにしている。

「ポールは受け入れた。来週、ジョシュアと話をするつもりだ。ポールが勝てば、ジョシュアは終わり。ポールはランキングに値し、ボクシング界の未来の可能性を持つ事になる。私は五分五分を望んでいない。現状では99対1がいい」と、元3団体統一ヘビー級王者との対戦に対する価値観を顕にしている。

ポールは昨年11月に行われた、58歳の元3団体統一世界ヘビー級王者マイク・タイソン(米)=50勝(44KO)5敗2NC=との2分8ラウンド、14オンス・グローブによるヘビー級8回戦で完勝。総額4千万ドル(約59億3640万円)の報酬を得ている。

Jake Paul vs. Mike Tyson

ジョシュアvsポールが実現され、報酬分配が99vs1となれば、ジョシュアは4千万ドル以上の報酬を得る事は確実と見られる。勝利して当然ではあるが、58歳のタイソンとは違い、負ければ失うものもその比ではない。

ポールは5月3日(日本時間4日)に米・ラスベガスのT-モバイル・アリーナで、サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)=63勝(39KO)2敗2分=との対戦が決定寸前まで行ったが、最後の最後でアラルシク大臣によるカウンターオファーで、ポールvsカネロは消滅。

カネロはアラルシク大臣と4試合のプロモート契約を締結し、9月にテレンス・クロフォード(米)=41戦全勝(31KO)=と対戦する事になったが、このニュースに世界のボクシングファン、関係者は大いに安堵した事は記憶に新しい。

「ジェイク・ポールがボクシング界でやっていることに反対しているわけではない。しかし、私は彼がするいくつかの試合には反対だ。ジョシュアがポールを倒せば、僕にとっていいことになる」(アラルシク大臣)

果たして、ジョシュアとプロモーターのエディ・ハーンはどんな答えを出すのか。この条件でポールが受けた以上、「やる意味がない」とも言えないと思えるが・・・。