左瞼の負傷により1月24日に東京・有明アリーナで決まっていた、4団体統一世界スーパーバンタム級王者井上尚弥(大橋)=28戦全勝(25KO)=選手への挑戦をキャンセルした、IBF&WBO世界同級1位サム・グッドマン(オーストラリア)=19戦全勝(8KO)=は、傷口の形成手術を受ける為、今後、6ヶ月間は試合への出場が出来ない事が明らかになった。
グッドマンは昨年12月14日に行われたスパーリングで、左瞼を4針縫う裂傷を負い、10日後に控えていた井上選手とのタイトルマッチの延期を要請。大橋ジムの大橋秀行会長と、グッドマンのプロモーターであるノーリミット・ボクシングのマット・ローズが協議した結果、試合の1ヶ月間の延期が決まった。
上写真は12月のグッドマンの傷口。
医師から4週間の安静を言い渡されたグッドマンは、縫合した傷口が開く可能性が高いことから、ガチなスパーリングは出来ず、目慣らし程度に抑えられる。パートナーの出すパンチ、強さも制限され、傷口を護るための配慮がなされるのが普通である。原因となったのは下からのアッパー。目慣らしには不要と思われ、私ならパートナーには出せない。
「また同じことが起こるなんて……」
「ただただ打ちのめされている」
ローズの言葉に表されるように、グッドマン陣営は大きく落胆。そのショックは計り知れない。しかし、短い間隔で傷口が開いたのは、「明らかに彼の皮膚が柔らかいからだ」という事だけはあるまい。瞼の傷がより開きやすいのは、このスポーツに携わった経験がある人なら理解出来るだろう。
上写真は1月のグッドマンの傷口。
ともかく、これでグッドマンの運命は大きく変わってしまった。キャリアの再開まで6ヶ月以上を擁する事になり、IBF&WBO世界1位の座を保持する事が出来るのかが、今後の争点となる。
振り返れば、2024年5月6日に東京ドームのリング上で、井上選手から直接対戦オファーを受けたにもかかわらず、グッドマンは、9月に井上選手と戦う事を辞退。昨年7月10日にオーストラリア・ウロンゴンで、WBC世界同級8位にランクされていたチャイノイ・ウォラウト(タイ)=25勝(15KO)1敗1分=と対戦(12回判定勝ち)し、12月に井上選手と戦う事を選択。
井上選手との対戦は、3度に渡り実現の機会がありながら実現しなかった事になる。これが運かとも思える。「取り乱している」(ローズ)というグッドマンは、まだ26歳。自国ファンからは復活を望む声が多数あがっている。ここからの巻き返しストーリーを見守りたい。