帝拳ジム期待のホープ、WBA世界ライトフライ級1位にランクされる高見亨介(帝拳)=9戦全勝(7KO)=選手と、WBA世界同級王者エリック・ロサ(ドミニカ)=8戦全勝(2KO)=が、7月の対戦に向けのて交渉が最終段階に入っている事が伝えられている。

高見選手は4月8日に行われた日本ライトフライ級タイトルマッチで、王者でWBC世界同級3位、WBO8位、IBF12位にランクされていた川満俊輝(三迫)=11勝(7KO)2敗=選手を序盤から圧倒。6回2分26秒TKO勝ちで日本王座を獲得。

この試合での勝利が評価され、WBAランキングは前回3位から2位のアルビン・ホン・パシオネス(フィリピン・ベトナム在住)=10戦全勝(5KO)=を飛び越え、空位だった1位にステップアップしていた。

Kyosuke Takami

日本タイトルを獲得した試合後、帝拳ジムの本田明彦会長が、「久しぶりに素質のあるチャンピオン。世界ランクも高いし(世界戦は)いつやってもいい」と、世界王座挑戦へのゴーサインを出していた。そして選んだターゲットは、2階級制覇王者のロサ。

25歳のロサは2021年7月21日(日本時間22日)にドミニカ・サントドミンゴで行われた、WBA世界ミニマム級暫定王座決定戦で、21戦無敗のリカルド・アストゥビルカ(ペルー)を12回判定で破り、プロデビューから僅か9ヶ月。ドミニカ史上最速(ボクシング史上2番目)のプロ4戦目で世界王座を獲得。

同年12月21日(日本時間22日)にサントドミンゴで行われた、レギュラー王者ビック・サルダール(フィリピン)=26勝(16KO)6敗=とのWBA王座統一戦で、12回スプリットの判定勝利を収め、レギュラー王者となった。

その後はスーパー王者タンマヌーン・ニヨムトロン(タイ)=26勝(10KO)1敗=との王座統一戦が指令され、2013年3月1日にはタイで対戦が決定したが、タイまで渡りながらパスポートの不備により入国を拒否され、試合は中止。その後も決まっては流れの繰り返しとなり、ついに昨年1月ミニマム級王座を返上し、ライトフライ級に転向。

転向初戦でユデル・レイエス(メキシコ)=16勝(6KO)4敗=を12回判定で破り、WBAゴールド同級王座を獲得。、昨年12月19日(日本時間20日)に、寺地拳四朗(BMB)選手が返上し空位となった王座決定戦で、ネイダー・バルデス(メキシコ)=14勝(11KO)2敗2分=を12回判定で破り、2階級制覇に成功している。

Erick Rosa

”ミニ・パックマン”の愛称を持つロサは、身長160センチ、リーチ165センチ。スピード、テクニックに優れるドミニカの期待を背負うサウスポー。確かにスピードがあり、巧いボクシングをするが、”ミニ・マックマン”というほどのパンチングパワーはなく、サルダール戦でもダウンを喫する等、打たれた場合の脆さもある。

ライトフライ級に転じた2試合も、ポイント差ほどの楽な試合ではなく、このクラスでのパワーと耐久力には疑問が残るが、簡単に崩れるような相手でもない。

高見選手の試合は何度か観戦しているが、相手が強い方が力を発揮するタイプで、これまで綻びを見せた事はなく、リングサイドの関係者、目が肥えたファンからは、「高見は本物!」との声も聞いている。

幼少期からボクシング一筋に打ち込んできた高見選手が、ドミニカの期待を背負うエリート、ロサに対しどんなボクシングで立ち向かうのか。強敵相手の世界初挑戦。正式決定が待たれます。