WBO世界スーパーライト級王者テオフィモ・ロペス(米)=22勝(13KO)1敗=は、自身のSNSでIBF世界ウェルター級&WBAスーパー王者ジャロン・”ブーツ”・エニス(米)=34勝(30KO)無敗1NC=が、対戦を断って来たことを明らかにした。

10日ほど前にエニスをプロモートするマッチルームボクシングのエディ・ハーンは、サウジアラビア政府の直轄プロジェクト「リヤド・シーズン」を主導する、トゥルキ・アラルシク大臣から試合開催の申し出を受け、ロペスが階級を上げエニスに挑戦するタイトル戦を、9月から10月にかけて行う意向を示唆していた。

トップランクのボブ・アラムも両者の対戦交渉が進められている事を認め、「テオフィモは金のためだが、彼を責めることはできない。次の試合は彼にとって最大のマネーファイトになる。だけど、ロペスはアンダードッグだと思う」と、辛らつだが現実的な意見を述べていた。

エニスからの断りを受けたロペスは、実現を期待していただけに落胆も大きく、「自分がプロボクサーであり続けるかどうかはわからない。残念だ。」と、リングからの引退もほのめかしている。

ビッグマネーを求めるロぺスだが、昨年6月29日(日本時間30日)に米・フロリダ州マイアミのジェームス・L・ナイト・センターで行われた、同級8位にランクされていたスティーブ・クラゲット(カナダ)=39勝(27KO)8敗2分=との防衛戦では、見せ場を作る事が出来ず12回判定勝ち。3200席収容の会場のチケット販売にも苦戦していた。

その後、ファイトマネーへの不満からトップランクから離脱を図る動きを見せたロペスに対し、アラムはエニスへの挑戦を実現させる為にハーンとの交渉が進展中である事を公表。3月1日(日本時間2日)にESPNとDAZNによる共同PPVで、米国内での開催が計画されていたが実現には至らなかった。

Teofimo Lopez Devin Haney

昨年12月には元2階級制覇王者でWBC世界ウェルター級1位、WBA4位にランクされるデビン・ヘイニー(米)=32勝(15KO)無敗1NC=に対し、トップランクがファイトマネー最低保証240万ドル(約3億5960万円)プラスPPV収入55/45%分配とするオファーを出した事が明らかになったが、ヘイニーはこれに興味を示さなかった。

トップランクから離脱したいが、簡単にはそれが出来ない契約を締結しているロペスには、高額なファイトマネーで戦える相手が必要だが、それほどの相手はなかなかいない。しかし、最近になりヘイニーがロペスとの対戦に名乗りをあげており、”リヤド・シーズン”でへイニーと拳を交える可能性はある。

一方のエニスは、ウェルター級での4団体王座統一を目指していたが、体重苦から階級を上げスーパーウェルター級で戦う考えを示唆。

Jaron Ennis Eddie Hearn

エニスは2月22日(日本時間23日)にサウジアラビア・リヤドで、WBC世界スーパーウェルター級暫定王者バージル・オルティスJr(米)=23戦全勝(21KO)=との対戦が計画され、両陣営は対戦に同意。しかし、契約書に署名する段階になり、契約書に記載されていた契約ウェイトが147ポンドのウェルター級であったために、オルティスJr陣営は激怒。対戦は幻と消えている。

その後、エニスはWBA世界同級王者エイマンタス・スタニオニス(リトアニア)=15勝(9KO)1敗1NC=との王座統一戦が決まり、4月12日(日本時間13日)に米・ニュージャージー州アトランティックシティのボードウォーク・ホールで行われた試合では、スタニオニスを圧倒。6回終了棄権に追い込み王座統一に成功。

現在、日本に滞在するハーンは、以前からエニスの体重管理がきつくなっている事に触れていたが、「エニスがロペスと戦うのか、ウェルター級で王座統一を目指すのかを決断しなければならない」と話していた。