6月8日、東京・有明コロシアム。WBC世界バンタム級1位、WBA、WBO2位、IBF4位にランクされる那須川天心(帝拳)=6戦全勝(2KO)=選手が、世界前哨戦として、WBA世界同級6位ビクター・サンティリャン(ドミニカ)=14勝(5KO)1敗=と対戦。『Prime Video Boxing 13』。

29歳のサンティリャンは、2023年6月11日に大阪・住吉区民センターで行われた、WBA世界バンタム級挑戦者決定戦で石田 匠 (井岡)=34勝(16KO)4敗=選手と対戦。118-110、112-116、112-116のスプリット判定負けで初黒星。昨年6月の再起戦に勝利して以来、1年ぶりのリング。


世界前哨戦として位置づけられた試合だけに那須川選手にも緊張の色が伺える。

リングサイドには室伏広治スポーツ庁長官の姿も。

サウスポー同士の一戦。テクニックには定評があるサンティリャンを那須川選手がどう崩していくかが注目された。


那須川選手のジャブから左ボディストレートが、サンティリャンを捕らえる。


サンティリャンも速い左ストレート、右フックで応戦。



第4ラウンド、バッティングで左目上をカットした那須川選手だが、接近戦で左アッパーをヒット。

サンティリャンは左右スイングを振り回し那須川選手を脅かす。

課題とされる「倒し切るボクシング」をテーマに練習を積んできたという那須川選手は、的確なパンチで徐々にサンティリャンにダメージを与えて行った。




那須川選手のパンチを喰いながらもサンティリャンは反撃の姿勢を崩さない。

那須川選手の左ストレートが届く。


那須川選手の左オーバーハンドでサンティリャンの頭が揺れる。


疲労とダメージでよろめきながらもサンティリャンは、右フックを強振し抵抗。


ふらつきながらも喰い下がるサンティリャンに那須川選手は必死の形相で左を叩き込む。


KOを狙った那須川選手だったが、サンティリャンは最後まで踏ん張り試合終了ゴング。

勝者は那須川選手。公式スコアは100-90、99-91、99-91。大事な世界前哨戦で世界ランカーを大差で破った那須川選手だが、倒し切れなかったことに対し、「試合になるとなかなかうまくいかない。これが自分の実力」と自嘲。

次戦は11月末に計画され、いよいよ初の世界タイトルマッチが予定されている。同日のリングで、IBF世界バンタム級王者西田凌佑(六島)=10勝(2KO)1敗=選手を6回終了TKOで破り、WBC&IBF統一王者となった”ビッグバン”・中谷潤人(M・T)=30戦全勝(23KO)=選手は、階級を上げ王座返上が既定路線で、中谷選手返上後のWBC王座決定戦が有力とみられる。
同級2位には元世界2階級制覇王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)=44勝(28KO)4敗=がランクされ、6月14日(日本時間15日)にメキシコ・エルモシージョで、元世界5階級制覇王者ホルヘ・アルセ(メキシコ)の甥、カリム・アルセ(メキシコ)=21勝(8KO)2敗2分=との対戦が決まっている。
エストラーダが勝ち、すんなりとランキング通りに王座決定戦が行われるかどうかは見通せないが、「何があっても僕は負けない。全部のベルトを狙うつもりでいる」と、那須川選手は日本人選手が世界の中心を占めるバンタム級の頂点を見すえている。