6月14日(日本時間15日)、米・ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデン・シアター。マッチルーム・ボクシング興行セミファイナル。IBF世界ライト級挑戦者決定戦。同級5位三代大訓(横浜光)=17勝(6KO)1敗1分=選手が、同級3位(1、2位は空位)アンディ・クルス(キューバ)=5戦全勝(2KO)=と対戦。

颯爽とリングに登場した三代選手。日本タイトルを返上し、次のステップへ進む事を決断。「2025年は勝負の年にしたい」と、世界王座への道を模索していた中、舞い込んだクルスとの挑戦者決定戦のオファーに飛びついた。

試合開始ゴングを前に鋭い視線で相手コーナーを見つめる三代選手と、石井一太郎会長。

29歳のクルスは東京オリンピックのライト級決勝戦で、前WBO世界ライト級王者キーショーン・デービス(米)=13勝(9KO)無敗1NC=を4-1の判定で破り金メダルを獲得。
2023年7月のプロデビュー戦は10回戦で、ファン・カルロス・ブルゴス(メキシコ)=36勝(22KO)8敗3分=を判定で破り、IBFインターナショナル王座を獲得。以来ここまで、ほとんど相手に打たせず、安定したボクシングで勝ち続けて来た。

初回、三代選手は重心を低くどっしりと構えてスタート。クルスは速いジャブを伸ばし、そして右ストレート。このパンチがこの日の両者の明暗を分ける事になる。


三代選手もジャブを突いて接近を狙うが、クルスのディフェンスは固い。

初回が終わり石井会長の指示を聞く三代選手。

手ごたえを感じたか、2回開始を前にクルスは笑顔を見せた。

ジャブの差し合い。クルスのジャブは速く、良く伸びた。


クルスは接近戦もうまく、左右フック、アッパーを三代選手のガードの隙間に打ち込む。

第3ラウンド、クルスの右ストレートがヒット。グラりとした三代選手に間髪を入れずクルスのワン・ツーが決まると、三代選手はダウン。



立ち上がり再開に応じた三代選手にクルスはすかさず追撃。

クルスの右ストレートがタイミングよく三代選手を捕らえる。

左アッパー、右ストレート。クルスはパンチの角度を変え、速いコンビネーションを打ち込んだ。


三代選手はクルスの猛攻に耐え、反撃の突破口を見出そうと奮戦。


3回終了間際、クルスの右ストレートが三代選手を直撃。

三代選手はこのラウンド、2度目のダウン。

立ち上がりラウンド終了ゴングを聞いた三代選手は4回、左右フックを振り前進。クルスに肉薄した。


三代選手の反撃を封じたクルスは、狙いすましの右ストレートを叩き込む。このパンチで三代選手は大きなダメージを被った。

第5ラウンド開始と共に三代選手にドクターチェックが入る。何とか突破口を開こうと前に出た三代選手だが、クルスは多彩な連打で押し返し、右ストレートを打ち込む。

クルスの右ストレートが何度も三代選手を捕らえる。

右ストレートに続く連打も速く、三代選手は防戦一方に。

何とかこらえていた三代選手だが、反撃の術はなく動きが止まる。

見かねたエリック・ダリ(米)主審はついに試合をストップ。TKOタイム5回1分13秒。東京五輪金メダリストのクルスは、速く、強かった。

4回までジャッジ三者はクルスのフルマークとしていた。

クルスは快勝で世界王座への挑戦権を獲得。IBF世界同級王座はワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)=18勝(12KO)3敗=の引退、王座返上により、5月10日(日本時間11日)に米・カリフォルニア州サンディエゴで行われた暫定王座決定戦で、ザウル・アブドゥラエフ(ロシア)=20勝(12KO)2敗=を大差の判定で破り暫定王座を獲得していたレイモンド・ムラタラ(米)=23戦全勝(17KO)=が正規王者に昇格。クルスはムラタラと対戦する事になった。
トップランク・ファイターのムラタラは良くまとまった好選手で、クルスとは好勝負を演じる事になるだろう。今後はトップランクとマッチルーム・ボクシングによる、交渉の行方が注目される。